枯蓮。
討ち入りの日なりざはめく枯蓮/岡田史女

冬の季語、枯蓮(かれはす・かれはちす)。
初冬。
美しい蓮の葉の緑が消え去ります。
仏の座とも言われる高貴な蓮の花も散って久しい・・・。
これぞ、諸行無常。
葉も茎も、寒風に曝され、破れ、枯れ、水中に沈みます。
残る無残な蓮の葉と実、まるで残骸であります。
うらぶれた蓮の侘しさと淋しさが漂い悲しくなります。
荒涼とした枯蓮の風景、水面の静けさ、枯蓮の荒々しさ。
その光景は、観る者をひきつけてやみません。

蓮枯れて夕栄うつる湖水かな/正岡子規
枯蓮や水のそこひの二日月/水原秋桜子
生ぬくき雨こぼれけり枯蓮/石橋秀野
おのが影池に映して蓮枯るる/河本遊子
枯蓮に影より薄き男女佇つ/齋藤愼爾
落武者の倒るる如く蓮枯るる/小栗釣月

枯蓮や吹く風は廓然無聖/小栗釣月
憐れを極め、冬の陽を浴びた枯蓮は風を受けカラカラと乾いた音を立てます。
からからと笑ふて朽ちぬ枯蓮/小栗釣月
この時期から、蓮根堀りが始まります。

最後に蓮は、どうぞ食べて下さいと、根まで差し出すのです。

これぞ涅槃寂静の世界・・・まさに極楽浄土の花ですね。
本日、野暮用多数。
御訪問、コメントの返信遅くなります。
ゴメンナサイ。
大根干すor干し大根。
里山の家燦々と大根干す/遠藤和彦
山里に残る情や大根干す/小林佐江子

冬の季語、大根(だいこ)干す、干し大根(だいこ)。
昨日(12/2)、野暮用の中途で里山へ立ち寄ったら、軒先に大根が干されていた。
里山のその風景も、あとどのくらい見る事ができるかなぁ~と思うと、少し寂しい気持ちになります。
お祖母ちゃんやオフクロも、沢庵を漬けたけど干されているのを見たことが無い。
多分、どこぞの里山の農家に頼み、干された後の大根を届けてもらっていたのだろうなぁ。

大根干す琵琶湖の風に立て掛けて/関根洋子
裏口に溝ある暮らし大根干す/三井孝子
干し柿と干し大根の道標/小栗釣月

山晴やへの字に大根干し上がる/成重佐伊子
干大根無傷が前に並びけり/小橋末吉
大根干す日向の猫の視線受け/小栗釣月

干し大根母郷の風に慈愛あり/小栗釣月
自家製の美味しい沢庵漬が喰いたいのだっ。
あ~ん、寒いよぅぅぅぅ。
今日は外に出ない予定だったけど・・・・。
義理人情で行かねばならぬトコと買い物ありデス。
十二月二日~七十二候・その六十[橘始黄]
橘は実さへ花さへその葉さへ枝(え)に霜降れどいや常葉(とこは)の木/聖武天皇
実りたる右近橘御簾の前/松野自得

二十四節気・小雪・末候、橘始黄(たちばなはじめてきばむ)。
橘の実が黄色くなっていく頃。
橘は唯一日本原産の、柑橘類だと言われています。
橘は、常緑植物である為、「永遠」も意味します。
元明天皇が寵愛した、「右近の橘」は有名デスよね。

青き葉の添ふ橘の実の割かれ/日野草城
橘の黄の小さきは右近かな/吉田鴻司
橘の黄を珠として弓矢神/桂樟蹊子
橘は黄を深めつつ天の鈴/長谷川秋子
橘の黄ばみ瑞兆の現る/小栗釣月

常世物(とこよもの)この橘のいや照(て)りにわご大君(おおきみ)は今も見るごと/大伴家持
大君(おおきみ)は常磐(ときわ)にまさむ橘の殿(との)の橘ひた照りにして/大伴家持
橘の黄ばみ常世の風を待つ/小栗釣月
橘、実は、秋の季語なんですよね(笑)。
今朝は2℃、寒いぃぃぃぃ。
外は雨と霙が交互に降っています。
あ~、野暮用が・・・でも、行きたくネ~。
12/1・本日・【映画の日】
生き延びて映画観ている師走かな/小栗釣月
私の家には、二十年程前からTVが無い。
必然的に観るのは映画が多くなりますね~。
便利な時代です。
家にいて新作の映画を観る事がでます。
映画館で観るほどの作品は、年に数本かと・・・。
ちなみに、今週観た映画は・・・以下。
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』☆☆☆☆☆・☆

『ヘルドックス』☆☆☆☆☆・☆☆

『大名倒産』☆☆☆☆☆

『ザ・フラッシュ』☆☆☆☆☆・☆

『メモリー』☆☆☆☆☆

『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』☆☆☆☆☆

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』☆☆☆☆☆・☆

さて、今日は、何を観ようかしら?
接吻もて映画は閉ぢぬ咳満ち満つ/石田波郷
映画館裘(かわごろも)匂ひ穢土(えど)なるや/山口誓子
手袋をかんで映画を見て泣いて/野見山ひふみ
初映画ほろほろ泣けて恥かしや/富安風生
口シヤ映画みてきて冬のにんじん太し/古沢太穂
泣けぬ映画観て歳晩の橋渡る/寺井谷子
駅前の寒さ貧しさ映画ビラ/右城暮石
イタリヤの映画を観ては玉子酒/小栗釣月
やはり、これだね。
「トト、恋をするのに、青い瞳の女は、一番手強いぞ」
「トト、一度村を出たら何十年も帰ってくるな。
人生はお前が見た映画とは違う。人生はとても厳しいモノだ。」
人生の大切な事は、アルフレッドに学んだっ。
【ニューシネマパラダイス】

ラストシーンは何度観ても泣けるんだよなぁ。
そして、先に旅立った多くの懐かしい人々を想い出す映画です。
来週は親友達と家呑み忘年会。
今年も忘年会はこれだけ。
外食も全然しなくなった。
外で呑むのは句会の時ぐらいデス。
あれだけ外で呑み歩いたのが噓のようです。
終電の酒の匂ひや十二月/小栗釣月
麦の芽。
麦の芽や大地より詩の生れけむ/大久保白村

初冬の季語、 【麦の芽】 。
芽麦。
風の来て芽麦の青く寸詰り/小栗釣月
晩秋から立冬過ぎ頃に麦は蒔かれる。
そして、早ければ十一月の下旬には青々と発芽します。
冬の枯れ色の畑に麦の芽の青が眩しい。

麦の芽やパンのみに吾(あ)は生きる日々/小栗釣月
と、ココで、麦の芽は青いと思っている人。
青じゃない芽もあるんですよ~。
麦にも種類がありましてね。
毎日お邪魔しているきくちゃんのBlog『切り撮りLittle Garden』
こちらをクリック→≪ライムギ発芽、ちょっとだけ寒さ対策≫
珍しいライ麦の芽・・・ホラ赤いのね。
奇麗でしょう、この赤色、期間限定です、やがて青くなっちゃう。

麦生えてよき隠家や畠村/松尾芭蕉
畝幅も芽麦のいろも故山なる/篠原梵
麦の芽に日あたるごとく父が欲し/寺山修司
麦の芽や嫁来る噂走りをり/鈴木輝子
休田に麦の芽吹いて陽の光/小栗釣月

憂国の御霊十一月と逝く/小栗釣月
十一月が終わります。
明日は最後の月、十二月が始まります。
まっことに、一年、早過ぎますわ(笑)。