創作の基本に返る『四つの基本型』と切字の効用。
そんな時は、基本に返りましょう。
講座でも噛み砕いて説明した、
藤田先生が提唱した、
「四つの基本型」
について、再度説明します。
ちょっと長いですが、創作の基本です。
しっかり読んで実践さて下さい。
*上五+中七+下五の4パターン*
その1
季語名詞4+<や> + 中七 + 体言止[名詞]
例句
御下がり<や> 棟上式の 祝い餅[名詞] /小栗釣月
御下がり~三が日に降る雨雪、豊作の吉兆と言われる。
目出度い、棟上式「建築の上棟式」&お祝い餅、
三が日と三つのお祝いをかけている。
その2
上五 +6+<や> + 体言止[季語名詞]
例句
千年の 松を見越す<や> 雲の峰[季語名詞] /小栗釣月
その3
上五 + 中七 + [季語名詞]+<かな>
例句
川舟に まだ陽のあたる 涼み[季語名詞]<かな> /小栗釣月
その4
[季語名詞] + 中七 + [動詞]+<けり>
例句
炬燵猫[季語名詞] 絡まる足を ほどき[動詞]<けり> /小栗釣月
季語の季節感と本質と背景を考える。
季語と同じ仲間の言葉や名詞や近いフレーズを重ねない。
季語を立てる、ただし、季語をなるべく切字以外で詠嘆しない。
無理に季語を飾ったり高める必要はない。
季語にトラワレナイ。
季語の無用な説明は不要、
季語の主体性、
季節感を信頼して、
句の中に定める。
だから、で、
その理由により、で、
繋げる結果ありきで説明するパターンは良くない。
例句
御下がりや 猫と一緒に 雨宿り
雨が降って来たので猫と一緒に雨宿りをしています。
駄目、説明的、雨ありき、さらに下五の雨が被っても効果なし。
雨、だから、猫と雨宿りしています。
御下がりや 結髪[けっぱつ]くずれ 軒の下
雨が降って濡れてしまったので晴れ着の為に結った髪が崩れてしまい軒の下で雨を防いでいます。
これも駄目、説明的、雨・濡れた・逃げる、すべて雨が要因。
雨、だから、結った髪がくずれ、軒の下で、雨宿りしています。
すべて、このパターンを悪いとは言いませんが、
擬人法と同じく、あまり成功はしません。
俳句は、リズム[韻律]・流れ・テンポ[速度・間合]・が大切です。
その為には、切字を使い、リズム、流れ、テンポを整える。
切字は一句にひとつ。
以下、三つの効果を再確認する。
季語や言葉を詠嘆する効果。
言葉の省略によりキレや余韻を想像を促す効果。
格調を高める効果。
「や」は、詠嘆、強調、場面展開、心の変化などに効果あり、一般に上五に用いる。
「かな」は、落ち着かせたり、静めたりする効果あり、
五・七・五の基本型の下五で使うと一番収まり良く、全体が安定する。
「かな」は省略による余情余韻効果もある。
「けり」には勢いや強さや決意・決定・断定などを示す効果がある、一般に上五に用いる。
「けり」を使用する句には、全体的に、強い、早い、また激しい気持ちやテンポがある事が望ましい。
誰の為に俳句を詠むのか考える。
挨拶句など人の為に詠む場合もある、
自然に畏怖の念を抱き、
日本の四季を詠む場合もあるが、
自分のため詠むのです。
さらには、自分だけの俳句を作る、オリジナリティ、唯一ということを、目標にして頂きたいと思います。
ゆえに、基本の四型。
これに当てはめて、もう一度、訓練をしてみましょう。
もちろん、これ以外の創作もしてみて下さい。
作者自身が見たいろいろ風景、
人々の生活の日常の場面、
そのイメージを、読み手が具体的に浮かべる、映像化される、懐かしく思う、
そのような創作を心がけましょう。
また、朝を夜に、
曇を晴に、変更する事により、
よりリアリズムや感動を与えられるなれば、
その状況設定を変える事も良い。
例句、
曇天に 朱を刻印す 実山椒
変更、
藍天[らんてん]に 朱を刻印す 実山椒
句会の当日は曇り空、ゆえに、その日は写生を心がけ、曇天と詠んだ。
しかし、朱を映えさせるなら、空は青が望ましい。
ただ、嘘はダメ、オーバー、誇張、は、良くない、そのあたりを考える。
空想をしてはいけないとは言わないが、
写生ができて、後の、主体に対しての空想でなくてはならない。
できれば、創作は、休まず続ける事が大切です。
一日、一句を目標にできたら理想です。
句を詠めない時、その時は、
せめて、歳時記をひらき、名句を鑑賞しましょう。
長くなりました、すいません。
では、投句を待っています。