3/26・本日・鈴風まさ子の忌日【まさ子忌/まさこき】

平成20年、大往生95歳。
我が人生の大先輩にして尊敬する句友・・・・淀風庵氏の母。
地元の句会の一会員とは思えない卓越した作風は驚嘆する。
まさ子女史亡き後、親族で手作りの遺句集を発行。
私の手元にもあり日々拝読して勉強させて頂いている。
山口誓子の弟子である三栗家高梢・羽田野迷々子・山崎龍に師事し、誓子を心の師としていた。
一のつく単語を好んで使い、分かり易い情景描写を得意とする作風は優しさに溢れている。
では、まさ子女史の春の句を幾つか。
春の日を海に沈めて月朧
花びらの白き池打つ花の雨
草餅や母とつくりし日も遠く
畦川の田螺動きて水温む
花傘となる満開の枝垂梅
まさ子女史が好んで使った一のつく句を幾つか。
梅雨晴れに蜘蛛の巣掛けの一途なり
雛は皆一重まぶたよ子も一重
青一筋秋刀魚の刃意志強き
一幹の藤千畳敷の房垂らす
鴨群れ湖の一隅を黒くする
海一線今茜染む初日の出
鴨一陣動けば全陣動き出す
凩の山に一村張付けり
奇しくも、心の師である山口誓子(誓子忌)も本日(3月26日)が忌日である。
万緑に向かひて母の車椅子
紅ひいて白百合胸に母発ちぬ
母逝きて納骨の径風薫る
秋風や駅舎に手振る母は無く
四句共に、淀風庵氏の母に捧ぐ句。
淀風庵氏のブログ【淀風庵の酒詩歌日記】
淀風庵氏のHP【酒の詩歌句集】
3/26・本日・山口誓子忌日【誓子忌/せいしき】
流氷や宗谷の門波荒れやまず/山口誓子
花更けて北斗の杓の俯伏せる/山口誓子
本日、三月二十六日は、山口誓子/やまぐちせいし・ ・・・の忌日デス。
1901年(明治34年)11月3日~1994年(平成6年)3月26日

私はこの句が一番好き。
『つきぬけて 天上の紺 曼珠沙華』
高浜虚子に師事。
昭和初期に水原秋桜子、高野素十、阿波野青畝とともに「ホトトギス」の四Sと称される。
後に、同誌を離反した秋桜子に従い「ホトトギス」を離脱し、新興俳句運動の指導的存在となる。
戦後は「天狼」を主宰。
【誓子忌】
塚に梅枝垂れて誓子忌を修す/蔵本青嵐
平成の新しき季語あゝ「誓子忌」/堀内 薫
誓子忌の伊勢路に遇ひし初燕/山口超心鬼
誓子忌の夜は万蕾の星となれ/鷹羽狩行
では、誓子の宗教系?の句をいくつかご紹介。
本堂のみ仏の燈も雛の宵
あばら骨露はに釈迦の寝ねませり
近づくにつれ塔重き春の暮
塩田のゆふぐれとなる遍路かな
遠き世の如く遠くに蓮の華
閻王のまえに昼寝の床几在り
塔中の僧門の子に星まつり
秋の暮使徒虐殺の図にまみゆ
熊ゆきぬ神居のくにへ贄として
神が召すいけにへ熊の胴飾り
年暁けぬ竹をまじふる神の杜
ちかき田ぞ神の若井をいただける
日本がここに集る初詣
『海に出て木枯らし帰るところなし』特攻隊のコトを詠んだ句らしい・・・・。
辞世?【一輪の花となりたる揚花火】
山口誓子記念館は、神戸大学で不定期に公開されています。こちらです→『山口誓子記念館 - 神戸大学』