4月20日~七十二候・[葭始生/あしはじめてしょうず]
水辺に葦が芽を吹き始める季節です。
蘆の芽やゆふべまでなき水の皺/溝口素丸
日の当たる水底にして蘆の角/高浜虚子
ちくちくと潮満来るや蘆の角/尾崎紅葉
水にうく日輪めぐり葦の角/皆吉爽雨
4/20・本日・【百閒忌/ひゃっけん】木蓮忌。
河童忌の庭石暗き雨夜かな
茶の花を渡る真昼の地震かな
古井戸の底の光や星月夜
漱石忌戻れば屋根の暗さ哉
本日、4月20日は、内田百閒/うちだひゃっけんの忌日です。

1889年(明治22年)5月29日~1971年(昭和46年)4月20日
木蓮忌の由来は、
『木蓮や塀の外吹く俄風(にわかかぜ)』の句にちなみます。
夏目漱石の門弟とりなり、芥川龍之介と親交を深めた。
関東大震災後、随筆集『百鬼園随筆』がベストセラーとなる。
百閒句を幾つか。
薫風や本を売りたる銭(ぜに)のかさ
物干しの猿股遠し雲の峰
竜天に昇りしあとの田螺かな
衣更へて傘干す土手を歩みけり
古井戸の底の光や星月夜
袋戸棚に砂糖のにほふ日永哉
犬聲の人語に似たる暑さ哉
欠伸して鳴る頬骨や秋の風
五臓六腑繪解きの色や秋の風
麗らかや長居の客の膝頭
獨り居の夢に尾もあり初枕
さみだれの田も川もなく降り包み
砂濱を大浪の走る夜の長き
春立つや犀の鼻角根太りて
大なまづ揚げて夜降りの雨となり
新堀の河童の床の魚骨哉
龜鳴くや夢は淋しき池のふち