11月02日~七十二候・その54[楓蔦黄/もみじつたきばむ]
黄葉の落葉ばかりの夕かな/原石鼎
万葉集の歌に詠まれる「もみじ」は、圧倒的に「黄葉」であった。
紅い紅葉よりも、黄色い黄葉を重んじていた事になる。
なので歌に詠まれた紅葉は、ごくわずかでありました。
奈良時代には黄色く色づくものが注目されていたらしく、
落葉樹が紅く色づくのさえもすべて黄葉と記し「もみぢ」と読んだ。
秋に黄葉するのは、イチョウ、ケヤキ、ブナ、トチ、ナラ、クヌギなどが有名。

林檎の黄葉も、それは美しいのデス。

二十四節気の霜降・末候、楓蔦黄。

もみじや蔦が色づいてくる頃。
ゆっくりと紅葉&黄葉前線が日本を染めている。
秋の山が紅葉&黄葉することを「山粧う」と言うのです。
日本の紅葉の美しさは世界で一番でしょう。
さあ、紅葉狩りへ出かけるシーズンです。

では、『黄葉』
ただよへる黄葉あかりのなほ暮れず/長谷川素逝
アカシヤの黄葉まみれの巴里雀/林翔
黄葉は散り紅葉は旺んなり/高野素十
黄葉を見よと硝子を拭きくるる/石田波郷
夜の黄葉運河に並ぶ娼婦館/棚山波朗
散り残る菩提樹黄葉数ふべし/清崎敏郎

干し柿、旨し。
11/2・本日・『白秋忌』
北原白秋の忌日デス。

1885年(明治18年)1月25日~1942年(昭和17年)11月2日
童謡は誰もが知っている・・・。
「待ちぼうけ、待ちぼうけ、ある日せっせと野良かせぎ」
「大寒、小寒、山から小僧が飛んできた」
「雪のふる夜はたのしいペチカ。ペチカ燃えろよ、お話しましょ」
「この道はいつか来た道、ああそうだよ、あかしやの花が咲いてる」
「海は荒海、向こうは佐渡よ」
なんと句集も出しています、その名も【竹林清興】
でも、俳句より短歌が良いですね。
[すずろかにクラリネツトの鳴りやまぬ日の夕ぐれとなりにけるかな]
[にほやかにトロムボオンの音は鳴りぬ君と歩みしあとの思ひ出]
音楽好きだったとか。
しかし、女で白秋は、一時かなり落ちぶれるのでアル・・・。
この白秋に、酒と女を教えたのが・・・石川啄木でアルが、それが、
白秋、二十四歳の時の詩集「邪宗門」を生み出し、で時の人となる。
で、意味深のこの歌、
『君かへす朝の舗石[しきいし]さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ』
この歌の相手・・・当時、人妻だった松下俊子との交際にて、
姦通罪で投獄されます、これが一度目(笑)、しかし俊子とは別れる。
この大スキャンダルで仕事が激減して、隠棲に近くなる。
二度目が、江口章子(あやこ)との結婚、しかもこっちは被害者となる?
で、三度目の正直、菊子で、やっと安定する?が、身内やらトラブルは絶えなかった。
まぁ、歌人は情熱的でありますねぇ~。
では、私の大好きな北原白秋の詩をご紹介。
【断章】
酒を注ぐきみのひとみのほのかにも濡れて愁ふる。
さな病みそ、街のどよみの小夜ふけて遠く沁むとも。
わが友よ。
君もまた色青きペパミントの酒に、
かなしみの酒に、
いひしらぬ慰藉(なぐさめ)のしらべを、
今日の日のわがごとも、
あはれ、友よ思ひ知り泣きしことのありや。
あはれ、あはれ、色青き幻燈を見てありし
とき、なになればたづきなく、
かのごとも涙ながれし。
いざやわれ、倶樂部にゆき、友をたづね、
紅のトマト切り、ウヰスキイの酒や呼ばむ。
ほこりあるわかき日のために。
つねのごと街をながめて、ナイフ執り、
フオク執り、女らに言葉かはせど、
色赤きキユラソオの酒さかづきにあるは滿たせど、
かなしみはいよいよ去らず、
かにかくにわかき身ゆゑに涙のみあふれていでつつ。
では、
もう一つ、私が好きな短歌を・・・・。
【独居はなにかくつろぐ午(ひる)たけて酒こほしかもこの菊盛り】
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