市展&秋天。

昨日[11月4日]の市展の帰り道、
あちこちフラフラして吟行の予定でしたが、
なんと一天にわかにかき曇り、予報にもない雨。

行きは、秋天、爽やかな青空の、
澄んだ美しさに見とれておりましたが、
女心と、いや、男心と秋の空であります。

秋天にわれがぐんぐんぐんぐんと/高浜虚子
秋天とわが身一つのほかはなし/藤崎久を
秋天の果にとどくや呱呱(ここ)の声/小菅暢子
秋天に音軽々と戦闘機/稲畑廣太郎
秋天や空いっぱいに放つ遺伝子/わたなべじゅんこ
君と在りしかの日を抛(ほ)る秋天へ/林翔
寝ころべば子規に六尺吾に秋天/神蔵器


*折鶴掲ぐ少女像、とは。
広島平和記念公園にある、
原爆の子の像のモデルともなっている、
佐々木 禎子/ささき さだこサンの事です。
オバマ大統領とのエピソードはこちら→佐々木禎子さん兄、オバマ大統領の折り鶴見学「平和への思いが詰まっている」
*呱呱(ここ)の声=生まれて間もない赤ん坊の声。
昨夜の月は眉月(びげつ・まゆづき)でありました。
11月5日は「いいりんごの日」
禁断の果実・・・林檎には名句が多いと思う。

傷林檎君を抱けない夜は死にたし/北大路翼
口づけも林檎も奪うのみである/津田このみ
林檎剥かるる愛憎のとぐろ巻き/片岡秀樹
好き嫌ひ好き好き渦に林檎むく/辻享子
殺すほど愛してをらず林檎むく/柴田佐知子

アダムとイヴは、楽園に居たかっただろうなぁ~。

りんご掌にこの情念を如何せむ/桂信子
林檎買ひくる妻わが街を拡大せり/磯貝碧蹄館
林檎剥く無垢なる詩を生むやうに/小澤克己
矢の飛んできさうな林檎買ひにけり/望月周

黄昏は早し林檎の切り口の/櫂未知子
林檎掌にとはにほろびぬものを信ず/國弘賢治
りんご剥くクレヨンしんちゃん舌を出す/小枝恵美子
セザンヌの林檎小さき巴里に来て/森尻禮子

*セザンヌ は、「りんごの画家」と呼ばれました。