冬隣・・・明日は立冬。
11/06・本日・【石川桂郎/いしかわけいろう】の命日。
うらがへる亀思ふべし鳴けるなり
遠蛙酒の器の水を呑む
鳥交るしきりと喉の乾く日ぞ
激雷に剃りて女の頸えりつめたし
理髪師に夜寒の椅子が空いてゐる

1909年8月6日~1975年11月6日
石田波郷に師事。
「鶴」「壺」「馬酔木」同人、「風土」主宰。
蛇笏賞受賞。
1974年、『俳人風狂列伝』により、
第25回読売文学賞(随筆紀行賞)受賞。
黒々とひとは雨具を桜桃忌
ゆめにみる女はひとり星祭
三寒の四温を待てる机かな
一つづつ分けて粽のわれになし
塗椀に割つて重しよ寒卵
水嵩の増しくる如く芹洗ふ
銭湯や煤湯といふを忘れをり
入学の吾子人前に押し出だす
炊飯器噴き鳴りやむも四月馬鹿
香水や腋も隠さぬをんなの世
柚子湯して妻とあそべるおもひかな
栗飯を子が食ひ散らす散らさせよ
ゆきひらに粥噴きそめし今朝の秋
ごうごうと風呂沸く降誕祭前夜
口に出てわれから遠し卒業歌
買初にかふや七色唐辛子
父の忌の朝より母の懐炉灰
起てど坐れど師の亡かりけり初日影
ラムネ抜く音の思い出三田訪はな