春陰・・・花曇は、もう少し・・・。
永(なが)き日。

春分が過ぎて、日が長くなったなぁ~と、実感する優しくゆったりとした気分。
この、なんとも言えぬ、良い感じを、俳句の世界では、「日永」という季語にしている。
永き日に富士のふくれる思ひあり/正岡子規

実際には夏のほうが春より日が長いワケだが、喜びの思いが心理的に長く感じさせている?
そもそも、「日永」は、万葉集の時代から和歌では春の季題であり、俳諧→俳句と承継されたようだ。

永き日や欠伸うつして別れ行く/夏目漱石
永き日のにはとり柵を越えにけり/芝不器男
永き日の一角をなす花時計/角川源義
永き日や石ぬけ落る愛宕山/湯本希杖
永き日や『風月堂』で一茶論/長谷邦夫
永き日の「羽衣」を舞ひをさめける/桂信子
永き日やお城にかかる雲の帯/松本たかし
永き日の縁側にギター奏でる/小栗釣月

弥生(やよい)。
3/22・本日・【阪田寛夫/さかたひろお】命日。
詩人、小説家、児童文学作家、翻訳家の阪田寛夫の命日デス。

1925年10月18日~2005年3月22日
熱狂的な宝塚ファンとして有名。
『土の器・1975年』で芥川賞受賞。
童謡「サッちゃん」「おなかのへるうた」の作詩は阪田の作品である。
阪田寛夫作詩「夕日が背中を押してくる」
夕日が背中を 押してくる
まっかな腕で 押してくる
歩くぼくらの うしろから
でっかい声で よびかける
さよなら さよなら
さよなら きみたち
晩ごはんが 待ってるぞ
あしたの朝 ねすごすな
夕日が背中を 押してくる
そんなに押すな あわてるな
くるりふりむき 太陽に
ぼくらも負けず どなるんだ
さよなら さよなら
さよなら 太陽
晩ごはんが 待ってるぞ
あしたの朝 ねすごすな
夕日が背中を 押してくる
でっかい腕で 押してくる
握手しようか わかれ道
ぼくらはうたう 太陽と
さよなら さよなら
さよなら きょうの日
すてきな いい日だね
あしたの朝 またあおう
さよなら きょうの日
さようなら

オススメ本です。
3/22・本日・【新美南吉】命日。
児童文学作家、新美南吉/にいみなんきち・・・・の命日デス。

1913年7月30日~1943年3月22
昭和18年没・・・・29歳、なんと若い・・・・。
代表作の【ごんぎつね】はあまりにも有名です。

童話の他に童謡、詩、短歌、俳句や戯曲も残しました。
「北の賢治、南の南吉」と評されました。
昭和18年2月9日卒業生への手紙
「たとえ僕の肉体がほろびても君達少数の人が(いくら少数にしろ)僕のことをながく覚えていて美しいものを愛する心を育てて行ってくれるなら、僕は君達のその心にいつまでも生きているのです。」
では、本人の詩。
【天国】
おかあさんたちは
みんな一つの、天国をもっています。
どのおかあさんも
どのおかあさんももっています。
それはやさしい背中です。
どのおかあさんの背中でも
赤ちゃんが眠ったことがありました。
背中はあっちこっちにゆれました。
子どもたちは
おかあさんの背中を
ほんとうの天国だとおもっていました。
おかあさんたちは
みんな一つの、天国をもっています。
では、本人の俳句を幾つか。
冬ばれや大丸煎餅屋根に干す
二つほど凧をあげたり山の村
鳶なくや三河尾張の秋日和
飯櫃(めしびつ)の木目のめだちや秋の風
人も牛も地曳網(じびき)をひけり秋の昼
【新美南吉記念館HP】
〒475‐0966 愛知県半田市岩滑(やなべ)西町1‐10‐1
TEL 0569-26-4888 FAX 0569-26-4889