春休み・・・今年は大変ネ。
三椏(みつまた)の花が兵庫・丹波で満開らしい。
この、万葉集の一首の、三枝は、三椏の花ではないか?との説と、江戸期に渡来したの説とがあります。

三椏の咲くや古雪に又降りつむ/水原秋櫻子

今朝、雪が降りました。
まぁ、すぐ溶けましたけどネ。
三椏の花、俳句では三椏としても詠みます。
山あい春を彩る、やや濃い黄い花ですね。
みつまたの名の由来は、枝が必ず三つに分れるという特性の為なのですわ。

三椏の花三三が九三三が九/稲畑汀子
三椏や英国大使館鉄扉/佐藤鬼房
三椏の花の眠たくなる黄色 /大橋敦子
三椏やむかひあはせに一里塚/春田淳子
雨けぶる寺三椏の花明かり/阿部悦子
三椏や少女うつむくうすまぶた/祐森彌香
三椏の道標なる山路かな/小栗釣月
赤もあるのね。

3/24・本日・【 檸檬忌/れもんき】
咳一つ胸をおさえて檸檬の忌/釣月
檸檬忌の空トパーズに深まりし/釣月
本日、三月二十四日は、
作家、梶井基次郎/かじいもとじろうの命日デス。

1901年(明治34年)2月17日~1932年(昭和7年)3月24日
昭和7年没・・・・31歳、本当に若い、おしいね。
代表作【檸檬】から檸檬忌と呼ばれています。
川端康成の「伊豆の踊子」の校正を手伝ったエピソードは有名デス。
洋楽通でもありました、マルチなお方ですね。
【桜の樹の下には】
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!これは信じていいことなんだよ。
何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。」
川端康成「梶井基次郎」昭和9年9月
梶井君も私もが伊豆にゐた頃、梶井君は私の作品集「伊豆の踊子」の校正をすつかり見てくれた。
誤植や私の字癖の細かい注意を彼から受けながら、私は少からず狼狽したのを覚えてゐる。
送り仮名の不統一をとがめるやうなことならば、熟練した校正掛は鋭いであらう。
そして私は、読めさへすればどうでもいいと、面倒臭がるであらう。
梶井君の細かい注意にも、私はどうでもいいと答へた。
しかし、私がさう答へたのは、校正といふことを離れて、自分の作品が裸にされた恥しさのためであつた。
彼は私の作品の字のまちがひを校正したのでなく、作者の心の隙を校正したのであつた。
さういふ感じが自然と私に来た。
彼は静かに、注意深く、楽しげに、校正に没頭してくれたやうであつた。
温い親切である。
しかも作品のごまかしはすつかり掴んでしまつた。彼はさういふ男である。
手紙を書くのも、他人の作品を校正するのも、創作するのも、梶井君の気持は同じである。
青森の林檎を幾つか、女房が梶井君に上げたことがあつた。
彼は温泉宿の一室で夜通し果実の肌を磨いて床の間に飾つた。
翌る日、三好達治君がその一つを噛つた。
梶井君はものも云はずに、いきなり三好君の頭を殴つた。
梶井君は菓子も茶も好きであつた。
物惜みはなく、高い玉露をどつさり摘んで、入れかへ入れかへするといふ風であつたが、味ふともなく味ふ贅沢さに、彼の高貴な深さがあつた。
それは彼の作品のいたるところに現れてゐる。
彼の友人達は彼にいい菓子なぞを実にしばしば送つて来た。
彼は必ずその度毎に半分を私の宿へ持つて来てくれたものである。
梶井が檸檬を買い求めた店京都中京区寺町二条角「八百卯」は2009年1月に惜しまれながら閉店しました。
レモン爆弾を仕掛ける任務は誰がを引き継ぐのか?

蛇足、【檸檬忌】ではない、カタカナのレモン忌・・・・10月5日は智恵子の命日の『レモン忌』です。
3/24・本日・『磯貝碧蹄館/いそがいへきていかん』の命日。
先づ郵便受箱をこそ備ふるべし。
「地べたが法廷」汗の郵吏に科被するな/磯貝碧蹄館
人肉を喰ふ雲の出づ潮干潟
天へ向く千枚通し鳥渡る
暦日の心音個個に桃の花
王と浮塵子へ軽重ひかりは楽伴ふ
現在も稚拙な愛なり氷菓を木の匙に
神曲踊る鬼の麤皮西日脱ぐ
首に一本幣刺し前世の瀧明り
擂り鉢状の刑場に胡麻煎らるべし
初凧にまで驅けりては馬頭琴
三月になりて傘壽の傘を差す
渤海へ出づ骨片と罌粟の壺

磯貝碧蹄館、俳人・書家(金子鷗亭に師事)。
1924年3月19日~ 2013年3月24日
元郵便局員、俳号も変わっている、韓国の古戦場の名らしいが???
台風圏飛ばさぬ葉書飛ばさぬ帽
雨合羽姿の碧蹄館が目に浮かぶ。
川柳の後、自由律句を詠んでいたらしいが、何かを求めて俳句へ転向。
1954年中村草田男に師事。
1960年『与へられたる現在に』で角川俳句賞受賞。
1966年『握手』で俳人協会賞受賞。
1974年俳誌『握手』を創刊し主宰する。
2013年3月24日、肺癌のため死去。89歳没。
作風は、独想独語独断、
師である中村草田男の言う、
「第一発見者たれ!」の掟が貫かれている。
では、碧蹄館の句をもう少し・・・。
ジーパンをはき半処女や秋刀魚焼く
夜間飛行機子と七月の湯屋を出て
ロボットの腋より火花野分立つ
林檎買ひくる妻わが街を拡大せり
賀状完配われ日輪に相対す
水中に母の隠れ家真桑瓜
列柱・ハーブ・主の血の管を冬の月
草田男に愛され、嫉妬され、放された。
師弟関係とは難しいモノDEあることよなぁ~。
再読・ちょっと調べ物・・・『口語訳・古事記』。

古事記は、格調高い?言葉で綴られている超一級の日本資料・・・言霊ゆえに。
冒頭の、イザナキの命(みこと)がイザナミの命(みこと)を、Hに誘う会話は芸術的と言うか、なんとも不思議な感じがします。
『刺し塞(ふさ)ぎて・・・・』なんて、誰も使わないでしょうネ~。
堂々としたポルノとでも申しましょうか?隠語の連発です。
思うに、古代の日本はSEXにおいて自由奔放だったのではと想像します。
DE、口語訳ですがかなり原文に忠実ですし、注釈がとてもわかりやすいです。
キリストの母、処女の聖マリアが懐妊した。
預言者ムハンマドが、昇天し、神アッラーの御前に行った。
この古事記も神道の、そして、日本の根幹です。
事実かどうかではなく、このことがベースとなっていることが大切なのだと思います。
神代篇&人代篇に分かれている文庫版が軽くてお勧めです。
日本の歴史を考えるなら[古事記]は必読です、是非、お読みください。
ちなみに、三浦佑之氏は、あの直木賞作家・三浦しをんのお父上であります。