春鮒、昔はたくさん鮒を食べたらしい。

鮒は、昔から愛された川魚である。
私も幼少は川でとったモノだが、地元では既に見ることもナイ。
季語として、寒鮒(冬)・紅葉鮒(秋)などもある。
釣り人に言わせると、春の鮒は釣りやすいそうだ。
春の産卵期に、深いところから浅いところへと移動する為らしい。
さざ波の志賀の春鮒田より釣る/米沢吾亦紅
『乗込鮒(のっこみぶな)』と言う季語もアル。
乗込みの鮒にしのつく淀の雨/阿波野青畝
乗込鮒の近きと思ふ川の色/内山由美子
乗込鮒枯葉藻屑をかきわけて/沢木欣一
乗込鮒生簀の外に影つづく/金子星零子
乗込鮒とは、田圃や川・水藻の浅瀬に産卵の為に入り込んだ鮒の事だ。
子供もカンタンに釣ってしまうだろう。

春鮒に虹をかけたる近江かな/藤田湘子
誘はるればいづこへもゆく春の鮒/小澤實
ひらひらと春鮒釣れて慰まず/大井戸辿
春鮒を濁りの中に戻しけり/大島雄作
春鮒を釣りつつ伏見下りけり/山本洋子

コロナって何種類あるん?????
三人のオバサンの会話。
コロナウイルスが何種類あるのか?
で、激論。
新型コロナとチャイナコロナと武漢肺炎と七番目のコロナと、何が違うのか?
一緒ですヨ、と、言ってあげたかったが・・・沈黙。
で、政府やらの会見にも悪態をついていた。
英語ばかりでなんやらサッパリわからんでしょ?
そうだそうだと、盛り上がる。
問題の英語は以下の四つ。
パンデミック。
オーバーシュート。
メガクラスター。
ロックダウン。
三人のオバサンの嘆きはもっともDEアル。
すぐ目新しい英語を使いたがるお偉いさん方。
ばぁぁぁぁか、日本語で話せや、アホッ。
と、思った次第。
まだ、炬燵があるなんて・・・。

某宅には、まだ炬燵があった、まだちと寒いモンね~。
私んトコは、狭くて炬燵など無理でございます、さらに炬燵は人を確実に堕落させる(笑)。
炬燵は冬の季語、春になっても居座っている?炬燵は、春炬燵であります。
今も昔も、炬燵は家族の団欒の場所ではないでしょうか?

トランプの王の窶(やつ)れて春炬燵/山県總子
李杜(りと・李白)のうた素読しづかに春炬燵/岩田育左右
春炬燵妻の趣味には立入らず/岩谷丁字
春炬燵尾だけの見えて軒の鳥/栗田武三
不義理せし身を深く入れ春炬燵/勝田みつ子
幼子の長きあくびや春炬燵/内藤順子
かうしては居れぬ気もする春炬燵/水田信子
猫どもの流連(いつづけ)長き春炬燵/小栗釣月

喇叭水仙は春の季語。
3/29・立原道造の命日。
~夢みたものは・・・・~
夢みたものは ひとつの幸福
ねがつたものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある
日傘をさした 田舎の娘らが着かざつて 唄をうたつてゐる
大きなまるい輪をかいて田舎の娘らが 踊りををどつてゐる
告げて うたつてゐるのは 青い翼の一羽の 小鳥低い枝で うたつてゐる
夢みたものは ひとつの愛
ねがつたものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と
本日。
建築家・詩人・歌人・俳人の立原道造の命日。

1914年(大正3年)7月30日~1939年(昭和14年)3月29日
昭和初期に活動し24歳で急逝した詩人。
自身の詩集『風信子叢書』から「風信子ヒヤシンス忌」とも呼ばれる。
堀辰雄に師事し堀の主宰する『四季』の同人。
堀の紹介で室生犀星にも教えを乞う。
詩集『萱草(わすれぐさ)に寄(よ)す』は有名。

~虹とひとと~
雨あがりのしづかな風がそよいでゐた あのとき
叢は露の雫にまだ濡れて 蜘蛛の念珠も光つてゐた
東の空には ゆるやかな虹がかかつてゐた
僕らはだまつて立つてゐた 黙つて!
ああ何もかもあのままだ おまへはそのとき
僕を見上げてゐた 僕には何もすることがなかつたから
(僕はおまへを愛してゐたのに)
(おまへは僕を愛してゐたのに)
また風が吹いてゐる また雲がながれてゐる
明るい青い暑い空に 何のかはりもなかつたやうに
小鳥のうたがひびいてゐる 花のいろがにほつてゐる
おまへの睫毛にも ちひさな虹が憩んでゐることだらう
(しかしおまへはもう僕を愛してゐない
僕はもうおまへを愛してゐない)
「5月のそよ風をゼリーにして持ってきてください」
死の床で友人たちから、何か欲しいものはないかと問われ、この言葉を返したという。
また、丸山薫(詩人)は「エスプリ清くして抒情に典雅に新声あふれたるは、譬(たと)へば神がしばしこの竹の青きを吹いてその余韻を永(とこし)へに耳にのこし給うたかの感がある」と、最大級の賛辞をおくった。
合掌。