2020/09/30【俳句愛好会・幹】今月の句、落掌致しました。
連衆の皆さん、如何お過ごしですか?
季節の変わり目です、お互い体調には細心の注意をはらいましょうネ。
で、なんと、明日、十月一日は、年に一度の、十五夜様(旧暦の八月十五日)=中秋の名月デス♪
旧暦の八月十五日と言う事ですから、必ず満月になるとは限らないワケです。
でで、今年の十五夜様は満月ではアリマセンよ、ご注意を・・・。
直近で、十五夜様が満月だったのは2013年で、次回は来年2021年です、お忘れなく。
さて、今月の俳句愛好会[幹]のテーマは、【稲妻】でした。

投稿いただいた会員の皆さんには、添削&アドバイスを十月五日ごろまで送付します。
で、次回の兼題は、『秋の蝶』です。
立秋過ぎの蝶は、春や夏の力強さは無い。
中には羽が傷ついている蝶も・・・本当に哀れです。

秋が深まるほどに数が減ってゆき、その先は死が待っています。
死を背負っているからこそ、アワレの象徴でもあり、無常と憂鬱を感じてしまうのでしょう。
では、例句。
秋のてふかがしの袖にすがりけり/小林一茶
蝶=てふ(ちょう)。
かがし=案山子。
秋の蝶の弱々しい感じがとても良く出ている、さすが。
小さな生き物を詠ませたら右に出るもの無し。
で、着物の中で一番弱々しいトコは袖や袂。
弱い×弱い、絶妙だ。
石田波郷の名句、『初蝶やわが三十の袖袂』にも通じるトコロがある。
病む日又簾(すみ)の隙(すき)より秋の蝶/夏目漱石
病気の人は秋の蝶を見てはいけない。
心身の疲れや痛みが鬱へ傾くのではないか。
見たくないのに、簾(すだれ)の隙間から秋の蝶があらわれた。
これは幻の蝶か?簾の隙間から蝶が来るものか?不思議で鬱とした句。
大病の親友、子規も同じであっただろうなぁ。
『何事の心いそぎぞ秋の蝶/正岡子規』
これは死への誘いと子規は考えたのではないか?
秋の蝶は不穏なのだ。
ますぐには飛びゆきがたし秋の蝶/阿波野青畝
ベタではあるが、秋の蝶が誠に的確だ。
秋の蝶は弱々しく、飛び方もヤヤ脱力系だっ。
詠めそうで詠めない一句。

秋蝶の驚きやすきつばさかな/原石鼎
秋蝶がビクビクしているのは、常に死の予感が隣にあるからではないか。
羽ではなく、なぜ?翼としたのか。
たぶん、それは、本来の蝶の力強さの比喩としてではないか。
だから殊更に憐憫なのだ。
学校へ来ない少年秋の蝶/藺草慶子
不登校。
今は珍しくもない。
もしかするとこの少年は、既にこの世にいないのかも・・・。
浮世は幻・・・寂寥と躁鬱が交差する。
掘り起こす土葬の墓や秋の蝶/小栗釣月
戦後しばらく田舎では土葬だった。
埋葬して卒塔婆を墓標とした。
そこに墓石を建立する事になりお寺様をむかえた。
お寺様はお経を読む前にはほんの少しだけそこを掘り起こした。
すると、突然、蝶が来たのだ。
参加者は皆が口々に、誰それの魂だの、なんの化身だのとの好き勝手に言い始めた。
人間が騒いでいる間に蝶は消えてしまった、幻のように・・・そして、そこには、メランコリックな感情だけが・・・。

他、秋の季語で自由題デス、締切は、十月三十日です。
早い、なんと九月が終るよ・・・九月尽。
曼珠沙華・・・突然の紅。
つきぬけて天上の紺曼珠沙華/山口誓子

別名、異名、多し・・・。
葬式花、墓花、彼岸花、死人花、地獄花、捨子花、幽霊花、ハミズハナミズなどなど。
縁起が悪そうな異名ばかり、私の地元では里山のお墓の近くに群生していたりするからネ。
とにかくお墓との縁が深い(笑)。
曼珠沙華どっと溢るる里の墓/小栗釣月
また、球根には強い毒性がある有毒植物である事も理由なのか?
その毒性が曼珠沙華の墓地に多い理由の一つなワケです。
なぜなら昔は土葬であり、獣による死体荒らしの防止策だったのデス。
モグラの餌であるミミズも曼珠沙華の下では生息しないとの事。
可憐な花を愛した古人には嫌われたようで詠まれていない。
花の色を美しいと思うか、毒々しいと思うかは、分かれるところではないか?
で、ユーラシア大陸からの帰化らしい・・・。

砂に陽のしみ入る音ぞ曼珠沙華/佐藤鬼房
はやすがれゐて貧農の曼珠沙華/山口誓子
ちちははの俄かに恋し曼珠沙華/川端茅舎
まんじゆさげうすきねむりをもてあそぶ/藤田湘子
曼珠沙華いづこを行くも農婦の日/馬場移公子
曼珠沙華はがねの力もてひらく/北さとり
曼珠沙華金魚の墓を一まわり/小栗釣月

秋の日に突然群生にて現れる驚きのこの紅を私は好きである。
「ハミズハナミズ」とは?
「葉は花を見ず、花は葉を見ず」の略。
リコリス系の花はすべてそうなのだけどサ。
花が咲く頃には葉が見られず、葉が茂っている時には花が咲かない。
葉と花が同時に出会うことがないとの意味でありますぅぅぅぅ。
今月の一本、ネタバレ無、『1917』。
多い時は二本観ます、映画大好き。
されど、オススメ作品は誠に少ないのでありまぁぁぁ~す。
九月は三十八本観ました、実は毎日映画評論をリアル日記でつけています。
しかし、99%は、罵詈雑言?悪態ばかり?なのでココには掲載できませんデス(笑)。
人格を疑われる・・・いや、既に、そうか?(笑)。
持論?でありますが、映画の傑作は100本に1本もありません、それは仕方がないコトであります。
で、今月の洋画はこれ。
『1917 命をかけた伝令/原題:1917』
相変わらずサブタイトルのセンスが無さすぎる、原案通りでイイじゃないか。

シンプルで良い。
戦争版ロードムービー。
邦画。
『狂武蔵(くるいむさし)』

こちらもシンプルで圧巻。
で、今夜も竹内結子さんの作品を観て、泣きます・・・。