初紅葉。
秋の声、秋声(しゅうせい)とも。

あらゆるものが澄み渡る秋は、メランコリックな心がすべての物音を敏感に感じてしまいがちだ。
雨の雫、風の音、瀬音、人の声、建物の軋み、モノの気配など、そのすべての音響が過剰に心に沁み渡る。
あまりにも抽象的な季語で、虫の音を雑音と感じる諸外国の人にはまったく理解できない事でしょう。
でも、日本人のDNAは解らせてくれる・・・ような気はするワケです(笑)。
ゆえに、心の耳に聴こえるモノさえも秋の声として詠む。
月影の十三夜塔秋の声/小栗釣月

みなさんも秋の声、聞こえますか?

表紙絵の明治の女秋の声/杉本寛
大瀑布ひとすじ秋の声を添ふ/篠田悌二郎
愛すべし吾が耳鳴も秋の声/堀内一郎
山越える度に重たき秋の声/小栗釣月

秋声を吹きためてゐる船溜/豊田都峰
秋声や流木たまる伊良湖岬/落合絹代
秋声にのせて母への便りかな/大槻球子
秋声をさくさく作る寺小僧/小栗釣月
