秋思(しゅうし)にもJAZZでしょ。

この秋思五合庵よりつききたる/上田五千石

杜甫/即事
聞道花門破
和親事却非
人憐漢公主
生得渡河帰
秋思抛雲鬢
腰支勝宝衣
群兇猶索戦
回首意多違
秋思は雲髻(うんぴん)を抛(なげう)ち腰支(ようし)は宝衣に勝(かち)えたり
秋になると物思いにふけるあまり、雲髻=もとどり(女性の髪の毛を頭の上に束ねたスタイル)が乱れてしまうほど、と、言う意味かな?
で、秋の季語、【秋思】は、この漢文からと言われている。
杜甫の漢詩には故郷を恋う無常が綴られる。
絶対の孤独、一人物思いに耽る晩秋の日々。
秋の愁い、静寂、もののあわれ、ノスタルジー。
すべて含めて、【秋思】と言う事か。
愛憎の絶えて仏となる秋思/小栗釣月

腰おろす秋思の幅をあけ合ひて/亀田憲壱
海に向き何も見てゐぬ秋思かな/千田百里
アクセル全開秋愁を振り切りぬ/能村研
敗残の将の武具見る秋思かな/春田淳子
秋思あり男ふたりにたまご焼/佐藤喜孝
島はるか秋思の一指もて差せり/高橋愛子
公園の野良と戯(たわむ)る秋思かな/小栗釣月

で、今宵は、ジャズです。
昔、このバンドのカバーをやっていました。
≪BUENA VISTA SOCIAL CLUB≫

あ~、秋に飲み込まれそうぅぅぅぅぅぅぅ。
特に、『Dos gardenias』と『Veinte anos』は泣けてくる(涙×涙)。

ドキュメンタリー映画も凄く良いです、是非♪
歳月を歌ふ女の秋思かな/小栗釣月
11月5日は「いいりんごの日」。
禁断の果実・・・林檎には名句が多いと思う。

果物を男一人で食べるのはなんとメンドクサイ。
手で磨く林檎や神も妻も留守/原子公平
特に林檎は剥き難くてイヤなんだよね。
それに、酸っぱいしサ(笑)。
林檎とはをんなに剥いてもらふもの/小栗釣月
この句は、男尊女卑と怒られそうですなぁ。

口づけも林檎も奪うのみである/津田このみ
林檎剥かるる愛憎のとぐろ巻き/片岡秀樹
好き嫌ひ好き好き渦に林檎むく/辻享子
殺すほど愛してをらず林檎むく/柴田佐知子

アダムとイヴは、楽園に居たかっただろうなぁ~。

矢の飛んできさうな林檎買ひにけり/望月周
林檎買ひくる妻わが街を拡大せり/磯貝碧蹄館
りんご掌にこの情念を如何せむ/桂信子
セザンヌの林檎小さき巴里に来て/森尻禮子

*セザンヌ は、「りんごの画家」と呼ばれました。
林檎剥けば愛の言の葉の暴るる/小栗釣月
秋天(しゅうてん)。

秋天と言う大きな秋の季語には孤独がある。

秋天の爽やかな青空は、なぜか雲を呼ぶんだよね。

転けし子の考へてをり秋天下/上野泰
秋天の果にとどくや呱呱(ここ)の声/小菅暢子
秋天や空いっぱいに放つ遺伝子/わたなべじゅんこ
寝ころべば子規に六尺吾に秋天/神蔵器
博雅の葉二(はふたつ)響く秋天下/小栗釣月

*折鶴掲ぐ少女像、とは。
広島平和記念公園にある、原爆の子の像のモデルともなっている、佐々木禎子/ささきさだこサンの事です。
*呱呱(ここ)の声=生まれて間もない赤ん坊の声。
*博雅の葉二=源博雅(みなもとのひろまさ)の名笛、「葉二」。
平安時代、朱雀門の鬼から「葉二」を譲り受けたとの伝説がある。
逢坂の蝉丸との話も有名。
夢枕獏のSF小説陰陽師の主人公の安倍晴明の相棒。
関東エリアは天気が続いて良いなぁ~♪