二月も終わる・・・二月尽(にがつじん)。
二月尽雨なまなまと幹くだる/石原舟月
「二月尽」と言う季語は、かなり新しい季語デスね。
頻繁に使われ始めたのは昭和に入ってからでありますヨ。
明治よりも昔の人は陰暦(月齢)で暮らしていたので、二月が終わることへの感慨はゼロでしたでしょうネ。
陰暦の春とは、一月・二月・三月デス、ゆえに、二月は仲春、春の訪れもを待ち望む期待感がありませんでした。
しかぁぁぁぁぁし、現在は違いますよね~。
特に雪国では、三月を待つ気持ち、やっと二月が終わると言う思いは格別のモノであります。
ちなみに、沖縄では桜のシーズンが終わったヨシ・・・トコロ変わればでありますね、梅、桜、早く咲かないかなぁぁぁぁぁぁ。

階段を下りて呟(つぶや)く二月尽/橋閒石
北極の旅の絵葉書二月尽/山田弘子
川幅のいくばくふとり二月尽/能村登四郎
人去りて耳朶に手をやる二月尽/平井奇散人
天敵の一尾もをらず二月尽/山田六甲
嫁ぐ娘へ小言の増えし二月尽/平居澪子
薔薇の瘤雨のうるほす二月尽/松井志津子
皹(あかぎれ) の足しくしくと二月尽/小栗釣月

梅シリーズ8・梅月夜。
2月28日~七十二候・その6[ 草木萌動/そうもくめばえいずる]
旧暦・二月三十日・[閏年]・【其角忌/きかくき】
其角忌やあらむつかしの古俳諧/加藤霧村


酒を妻妻を妾の花見かな
梅寒く愛宕の星の匂ひかな
うすらひやわづかに咲ける芹の花
帚木のゐぐいは是にやみの梅
鎌倉や昔の角の蝸牛
凩よ世に拾はれぬみなし栗
草の戸に我は蓼食ふほたる哉
夕立や田を見めぐりの神ならば
けさたんとのめや菖の富田酒(とんださけ)
本日、旧暦二月三十日。
俳人、【蕉門十哲の第一の門弟】、宝井其角/たからいきかく・・・・の忌日デス。

寛文元年7月17日(1661年)~宝永4年2月30日(1707年・一説には2月29日とも)
永年の放蕩や大酒が災いして、47歳の若さで早逝。
芭蕉が其角に「朝顔に我は飯食う男なり」という句をおくり、放蕩や大酒を改めるようにと願ったのですが・・・・。
草庵に桃桜あり、門人に其角嵐雪あり・・・・、
【両の手に桃と桜や草の餅】と、松尾芭蕉が二人を目の前にして詠ったとか。
また、江戸を拠点とする門人で其角だけが、唯一芭蕉の死に立ち会えました。
宝井其角の酒の句については、大先輩の句友であります。
【淀風庵】氏のHPをご参照下さい。
ココ→「酒の詩歌句集/芭蕉・其角の酒落句」
とにかく異常にエピソードの多い俳人デス。
芭蕉の没後は、一躍江戸一番の超人気俳人となり門人多数。
没後も江戸座と言う結社の開闢者となり、崇敬の対象となります。
交遊録もなかなかであります。
当初一流の文化人、財界人でありますヨ。
井原西鶴・英一蝶(はなぶさいっちょう)・市川團十郎(二代目)・紀伊国屋文左衛門・佐々木文山などなど。
で、洒落風俳諧、こんな感じの句デス、例えば・・・闇の夜は吉原ばかり月夜かな・暁の反吐は隣か時鳥。
ま、アル意味商業主義的?堕落と大衆性は紙一重ですが・・・・如何なものかとの批判も多し?
こうした豪放洒脱にして,放蕩三昧の超インテリな人物であっただけに・・・。
凡人の私など、其角の句は複雑怪奇?な作品も多く・・・分かり易いのもアルんだけどネ。
でぇ~、そのあたりの解説はプロにおまかせです。
この本をご参照下さい。【旧ブログ・其角マニュアル本?の紹介】
【其角忌】・晋子忌・晋翁忌。
其角忌の酒飲男やとひけり/谷活東
其角忌や西相模野の紅梅花/石原八束
其角忌やすつかり褪せし句短冊/石川風女
晋子の忌硯に酒を注ぎけり/織田烏不関
煮奴にさかな上るり晋子の忌/加藤郁乎
其角忌や立並ぶべき花もなし/松瀬青々
其角忌や血抜きのしるき櫻鯛/伊丹さち子
慧能には風と答えよ其角の忌/小栗釣月
では、其角の有名な句をいくつか・・・。
切られたるゆめはまことかのみのあと
この木戸や鎖のさされて冬の月
寝ごごろや火燵蒲團のさめぬ内
やりくれて又やさむしろ歳の暮
百八のかねて迷ひや闇のむめ
朧とは松のくろさに月夜かな
うぐひすや遠路ながら礼がへし
ねこの子のくんづほぐれつ胡蝶哉
あだなりと花に五戒の櫻かな
寝時分に又みむ月か初ざくら
しら魚をふるひ寄たる四手哉
明る夜のほのかに嬉しよめが君
初雪や門に橋あり夕間暮
赤穂浪士にも出てくるんだから、たいしたお方ですネ。
2021/02/27【俳句愛好会・幹】今月の句、落掌致しました。
もうしばらく寒い日が続きますね。
私の地元では、今朝は・・・雪が降っていましたよ(笑)。
明日の朝の予報は、なんと-6度、放射冷却です、凍結防止をしなくちゃデス。
連衆の皆さん、春の優しい風が待ち遠しいですネ~。
さて、今月の俳句愛好会[幹]のテーマは、【風】でした。

投稿いただいた会員の皆さんの、添削&アドバイスは随時。
また、秀句の評論などの会報は、三月十二日までに送付します。
で、次回も、季語ではなく、【題詠:題】は、『海』とします。

句の中に海が入っていれば良いです。
海を含む、春の季語でもOK、季は春限定ネ。

詩歌句の中での主役は、空と海。
とくに春の海は穏やかで、まさに、命の母であります。
母は怒ると怖いですからね~、荒れた海も、海であります。
「わきてながゝるやほじほの そこにいざよふうみの琴
しらべもふかしもゝかわの よろづのなみをよびあつめ
ときみちくればうらゝかに とほくきこゆるはるのしほのね(春の潮の音)」島崎藤村
「見わたせばもろこしかけて舟もなし霞につづく春の海原」正岡子規
「春の海潮時こしと来し波のうへに富士ありほのむらさきに」与謝野晶子
「春の海の静けさ棲めり君とわがとる掌のなかに灯の街を行く」若山牧水
「春の海あたたかげにも膨らみて寄るしら波は笑ふがごとき」窪田空穂
「煙突の一本高し春の海」高浜虚子
「ちるさくら海あをければ海へちる」高屋窓秋
「初蝶を追ひ海光をまぶしみぬ」沼田総子

あなたの海はどんなイメージですか?穏やかですか、波が立っていますか?
海の空は青いですか?船は浮かんでいますか?いつの時間の海が好きですか?
海から何を感じますか?
季語が重ならないように注意しましょうネ。
他、自由題としては春の季語で・・・。
締切は、三月三十日です。