梅シリーズ1・白梅。
春の鹿。
はい、秋の季語デス。


春の鹿は、毛が抜けて、メスは妊娠中、オスは角が落ち・・・。
と、さんざんなのですが、それも自然の理、秋の代表的な季語ゆえデス。

傍題、孕鹿。

孕鹿若草山を辿りけり/正岡子規
孕鹿とぼとぼ雨に濡れて行く/高浜虚子
孕み鹿肘にて起ちしことも見る/山口誓子
石段のふちを登りぬ孕み鹿/高橋淡路女
おのが影にもおどろきて孕み鹿/伊藤トキノ
鼻息の荒き逞し孕み鹿/小栗釣月

春の鹿幻を見て立ちにけり/藤田湘子
春鹿の眉ある如く人を見し/原石鼎
春の鹿ぽつんと歩きはじめけり/宮崎夕美
まつさらの闇から生まれ春の鹿/寺田良治
剥落のはげしき弥勒春の鹿/広瀬一美
薦(こも)となり刀も捨てて春の鹿/小栗釣月

【冴返る/さえかえる】
今宵しかない酒あはれ冴え返る/室生犀星

立春が過ぎ暖かくなりかけた頃、再び寒さがぶり返す事。
冴え・・・冷たくも透明感があり、ピ~ンと張り詰めた強さがある。
心も身体も引き締まりますなぁ~、でも、ソロソロ暖かくなっても良いんだけどネ~。

人に死し鶴に生れて冴え返る/夏目漱石
冴えかへるもののひとつに夜の鼻/加藤楸邨
父と子は母と子よりも冴え返る/野見山朱鳥
瑠璃色にして冴返る御所の空/阿波野青畝
ひとり佇つ東京駅の冴返る/小澤初江
冴え返る身に黒服のたたみ皺/鍵和田秞子
一憂は一喜に倍し冴返る/本橋仁
冴え返る小便小僧の反り身かな/塩田俊子
真夜中の腓返りや冴返る/小栗釣月

来週も雪マークあり。
たまらんなぁ。