東京の桜、開花宣言は?
楽しみは、桜の開花ぐらいのモンだわ。
でも、賑やかな花見は無理だよなぁ、今年も。
年寄の腰や花見の迷子札/小林一茶
痴呆老人は昔もいたのですネ。
花見るより花見する人面白し/池水雅子
花見待つ靖国通り和菓子店/町田喜久
そうそう、桜と言えば、靖国神社。

気象庁は靖国神社の境内にある三本のソメイヨシノを、
東京都で桜の開花日を決定する標準木として指定している。

ゆえに、東京都の桜の開花宣言は、この桜が咲いた時なのでアル。

昔から江戸っ子は花見が好きだ。

落語も花見を題材にしたモノが多い。
「愛宕山」
「長屋の花見」
「花見酒」
「頭山」
「花見扇」

うかうかと来ては花見の留守居かな/内藤丈草
たらちねの花見の留守や時計見る/正岡子規
切株に足りし二人の花見膳/安井明子
一枝は花見叶はぬ夫のもと/山本万治子
終焉は明日かも知れず花見せむ/安達加寿子
天上の花見に呼ばれ父は去ぬ/杉山哲也
懐メロの大合唱の大花見/小栗釣月
まぁ、季語の中心は、ヤッパ東京なんだよなぁ~、仕方ないよね。
『暖か』。
3/13・本日・【淡路女忌/あわじじょき】
落花掃き居れば友来し垣根かな
橋ありて水なかりけり額の花
散り牡丹どどと崩れしごとくなり
花手折る女の袖の長きかな
夏帯の細きをしめて我が家かな
紫陽花の色に咲きたる花火かな
しをしをとしをれ柳や秋の雨
起し絵やきりりと張りし雨の糸
人妻の風邪声艶にきこえけり
こんこんと親子の眠り貘枕
本日、三月十三日は、高橋淡路女/たかはしあわじじょの忌日デス。

明治23年9月19日(1890年)~昭和30年3月13日(1955年)
高浜虚子、飯田蛇笏に師事する。
後に「雲母」同人、句集に「梶の葉」「淡路女百句」がある。
蛇笏に「今日において女流界第一に位する」と評された。
【淡路女忌】
櫻餅葉ごと食うべぬ淡路女忌/阿部みどり女
吾亦紅淡路女の忌の遠く近し/阿部みどり女
初蝶の句を書き給え淡路女忌/阿部みどり女
淡路女忌過ぎても初蝶訪れず/阿部みどり女
みちのくの雪に友置く淡路女忌/松村蒼石
いとどしく星河うすれて淡路女忌/飯田蛇笏
しっかりと糸車拭き淡路女忌/松田ひろむ
荒れ庭に迷ひ蛍か淡路女忌/小栗釣月
では、私の好きな淡路女の句を幾つか・・・・。
戸を閉むや月のよければひとり言
売れ残る八百屋の芒後の月
人妻の風邪声艶にきこえけり
冬ざれやものを言ひしは籠の鳥
雪柳さらりと女盛り過ぐ
旅二た夜一と夜時雨れてたのしくて
淡路女と言えば鈴木真砂女と並び【螢】の句が圧巻です。

あやめ咲く宿に泊りて蛍狩
手うつしに螢もらひぬ垣根越し
水をたつ翅の乱れや大螢
薄羽織袂に放つ螢かな
籠の中あなや螢のとびにける
草深くむらがり遊ぶ螢かな
螢とぶや泉石ひろき庭の面
螢の火ほのめく宵となりにけり
飛び殖えてあやなき闇の螢かな
螢火をとり落したる青さかな
螢火の静かに消ゆる愁ひかな
辞世句【あめつちにひれふすこころ淑気満つ】