犬陰嚢(いぬふぐり)。

私の地元はこれからだが、関東のエリアで咲き誇っている様子。
この一週間、ほぼ毎日誰かが画像をUPしている、羨ましい。
瑠璃色の地の星祭いぬふぐり/小栗釣月
さて、名前が可哀想、花は可愛いのにね(笑)。
で、その名前の由来は、花ではなく種子の形状からだ。

でで、奇麗だね~と言われるのが瑠璃色の大イヌフグリ。

イヌフグリの方はちょっと地味ネ。
でも、こちらが、日本古来のイヌフグリ。

しかし、最近は見なくなったなぁ。
大イヌフグリが幅を利かせているよね(笑)。
実はこちら、明治期に渡来した外来種らしい。
小さく可憐な花。
本当に小さいんだよね、1㎝もないでしょ。
瑠璃色の四枚の花弁がアチコチに現れると春です。
イヌフグリ、別名「星の瞳」、英名は「キャッツ・アイ」。

一点のいぬふぐり「青の時代」ありき/山口青邨
斑鳩の道や総出のいぬふぐり/藤田湘子
いぬふぐり歩き初む子を野におろす/西村三穂子
いぬふぐり眠りしままに散つてをり/西本一都
殉教の千の沈黙いぬふぐり/上柿照代
我が靴の大きなことよ犬ふぐり/高田風人子
観音の宝珠のごときいぬふぐり/小栗釣月

漫画三昧とレインツリーの国を再読。
3/14・本日・【真砂女忌/まさじょき】
「やっぱり女には尽くすという幸福感がなきゃだめだと思うの。
男に尽くす、と思いますよ。尽くす幸せ。尽くさせれる幸せじゃなくて尽くす幸せ。」
生涯を恋にかけたる桜かな

菜の花や今日を粧ふ縞を着て
羅や鍋釜洗ふこと知らず
心中に海ありという春の海
髪に櫛とほりよき朝夏燕
腹立ててゐるそら豆を剥いてをり
笑ひ茸食べて笑つてみたきかな
秋七草嫌ひな花は一つもなし
不機嫌の二つ割つたる寒卵
女老い仏顔して牡丹見る
鰤は太り秋刀魚は痩せて年の暮
本日、三月十四日、鈴木真砂女/すずきまさじょの忌日デス。

1906年11月24日~2003年3月14日
平成十五年没、大往生九十六歳。
生家は房総地方に名の通った老舗旅館「吉田屋」
現在は「鴨川グランドホテル」という名前になっている。
大波乱人生・・・2度結婚、2度離婚に不倫の恋の数々。
姉の遺稿を整理しているうちに、俳句の世界に傾倒したと言われてる。
久保田万太郎に師事。
真砂女をモデルに,丹羽文雄が『天衣無縫』 、
瀬戸内寂聴が『いよよ華やぐ』という小説を書いている。
しかし、親戚に、こんな人がいたら大変だ。
【真砂女忌】
千代真砂女寂聴恋猫昭和遠し/武田克子
海に来て浪の音聞く真砂女の忌/後藤綾子
真砂女の忌安房の卯波に力得し/小島禾汀
春浅し真砂女の弱音聞きゐたり/赤榴子
俎板を水にくぐらせ真砂女の忌/石井優美子
真砂女忌の手鏡ほどの忘れ潮/寺尾上枝
真砂女碑に紅筆ほどの赤のまま/望月郁代
紅梅の満開の艶真砂女逝く/皆川盤水
羅や真砂女のあとに真砂女なし/柳家小三治
真砂女亡き銀座の灯桜鯛/山崎悠二
日本海波まだ高し真砂女の忌/小栗釣月
では、本人の句を幾つか。
白魚や生けるしるしの身を透かせ
あるときは船より高き卯浪かな
すみれ野に罪あるごとく来て二人
鯛よりも目刺のうまさ知らざるや
ゆく春や海恋ふものは海で死ね
落葉焚き人に逢ひたくなき日かな
降る雪やここに酒売る灯をかかげ
死にし人別れし人や遠花火
男憎しされども恋し柳散る
羅や人悲します恋をして
九十年生きし春着の裾捌き
鰤は太り秋刀魚は痩せて年の暮
ゆく年を橋すたすたと渡りけり
辞世の句はわからない。
が、それっぽい句を三つ。
今生のいまが倖せ衣被(きぬかつぎ)
来てみれば花野の果ては海なりし
【本人が希望してお墓に記した句】
芽木の空浮雲一つゆるし希里(けり)
さて、鈴木真砂女も蛍の句が圧巻であります。

死なうかと囁かれしは蛍の夜
恋を得て蛍は闇に沈みけり
死に急ぐなと蛍に水ふいて
恋遂げし蛍ゆっくり夜明け待つ
とほのくは愛のみならず夕螢
女一人目覚めてのぞく螢籠
螢(ほうたる)の死や三寸の籠の中
前出■「鴨川グランドホテル」に【鈴木真砂女ミュージアム】が出来たそうです。
DE、【鈴木真砂女ミュージアム】では、なんと真砂女の孫が経営して再開発にて惜しまれながら閉店した、銀座の【卯波】のマッチ箱の包装紙(四季の句が綴られているらしい)が自由に持ち帰れること。
【卯波】閉店の記事【俳人・鈴木真砂女さん創業の小料理屋「卯波」閉店】