3月15日～七十二候・その9［ 菜虫蝶化／なむしちょうとなる］

古の蝶（蛾とも混合）のイメージは悪く、和歌でほとんど歌われていないようです。

散りぬれば後はあくたになる花を思ひ知らずもまどふてふ（蝶）かな



初蝶やわが三十の袖袂／石田波郷

二十四節気の啓蟄・末候、菜虫蝶化。

蛹で越冬し、やっと春をむかえて蝶が羽化する頃。

蝶、もちろん、春の季語であります。

黒塀古し蝶の羽真新し／小栗釣月

菜虫とは、大根や白菜などの油菜科の菜類を食む、昆虫の幼虫の総称ですが、主に青虫・・・芋虫君ですね。



キリスト教で蝶は復活の象徴であり、日本でも地方により同じ考え方をしており、仏や死者の化身とも言われます。

蝶の異名は、「夢虫」・「夢見鳥」が有名で、中国の有名な故事である『胡蝶の夢』から来ています。


蝶の羽のいくたび越ゆる塀の屋根／松尾芭蕉

蝶々や花盗人をつけてゆく／横井也有

山国の蝶を荒しと思はずや／高浜虚子

けふ（今日）いちにち食べるものある、てふてふ（蝶々）／種田山頭火

《蝶来タレリ!》＊注１韃靼ノ兵ドヨメキヌ／辻貨物船



＊注１
「韃靼（だったん）ノ兵」＝モンゴル兵（蒙古）。
上五は、安西冬衛の一行詩「春」からの引用。
「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた」。
辻貨物船とは、抒情詩人・辻征夫の俳号である。

ライヴ♪いやいや、公開練習(笑)Ⅲのご報告♪

私のDuo、うつけ無双(Sax&Guitarのインスト)。

某日、公開練習(LIVE?)でしたぁぁぁぁ。

会場は地元の・・・デス。



お客様は多数の元妙齢のお姉様方(笑)。



ホボ理想に近い演奏が出来て満足♪

今回のうつけ無双のセットリスト。

Here,There And Everywhere／BEATLES

In My Life／BEATLES

And I Love Her／BEATLES

A Hard Day's Night／BEATLES

Hey Jude／BEATLES


合唱伴奏。

いい日旅立ち／山口百恵

花は咲く／花は咲くプロジェクト


サックスソロ(村上個人囃子)。

雨音はショパンの調べ／Gazebo

秋止符／ALICE

聖母たちのララバイ／岩崎宏美

サックスのソロ。
ドッカンドッカン受けていました。
やっぱ昭和歌謡は強いわ(笑)。

3/15・本日・【堀口大學】の命日。

「海の風景」　　　　　　　　　　　　

空のせきばんに
かもめがABCを書く

海ははい色のまきばです
白波はめんようの群れであろう

船が散歩する
たばこをすいながら

船が散歩する
口ぶえをふきながら


晶子の葬儀に参列した堀口大学が、晶子に捧げた歌。

「紫の　ゆかりの色の　衣（きぬ）かつぎ　ねむりておはす　少女のように」




1892年（明治25年）1月8日～1981年（昭和56年）3月15日

父は戊辰戦争で戦死した、長岡藩士堀口良治右衛門の長男で、母は村上藩士江坂氏の長女である。

とにかく交際範囲が異常に広い人物です、永井荷風の日記『断腸亭日乗』にも登場する。

与謝野鉄幹が永井荷風へ推薦をしたらしい、その縁で『三田文学／初代主幹が永井荷風』に詩歌の発表を始めた。


大學は、永井荷風を、恩師と言い、また、先生と言い、生涯崇敬した。
また同門の佐藤春夫とは終生の友となった。

経歴は複雑にして、作品はあまりに多い、ググッて下さい。


では、さらに、大学の詩を・・・。

「夕ぐれの時はよい時」

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。

それは季節にかかはらぬ、
冬なれば暖炉のかたはら、
夏なれば大樹の木かげ、
それはいつも神秘に満ち、
それはいつも人の心を誘ふ、
それは人の心が、
ときに、しばしば、
静寂を愛することを、
しつてゐるもののやうに、
小声にささやき、小声にかたる……

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。

若さににほふ人々の為めには、
それは愛撫に満ちたひと時、
それはやさしさに溢れたひと時、
それは希望でいつぱいなひと時、
また青春の夢遠く
失ひはてた人々の為めには、
それはやさしい思ひ出のひと時、
それは過ぎ去つた夢の酩酊、
それは今日の心には痛いけれど
しかも全く忘れかねた
その上（かみ）の日のなつかしい移り香

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。

夕ぐれのこの憂鬱は何所（どこ）から来るのだらうか？
だれもそれを知らぬ？
(おお！　だれが何を知つてゐるものか？)
それは夜とともに密度を増し、
人をより強い夢幻へみちびく……

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。

夕ぐれ時、
自然は人に安息をすすめるやうだ。
風は落ち、
ものの響は絶え、
人は花の呼吸をきき得るやうな気がする、
今まで風にゆられてゐた草の葉も
たちまちに静まりかへり、
小鳥は翼の間に頭（こうべ）をうづめる……

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時。


晩年、良寛の生涯と書と歌にぞっこん惚れて、
「越後に移ってからは、良寛和尚が悉く心の悦びをしめてしまった風である」
と、言って、以下の歌を詠んだ。

【老いけらし良寛坊に及ばざりロオランサンもアーキペンコも】　

御風しかり、大學しかり、で、あります。