今夜、菊被綿(きくのきせわた)。
陰暦九月八日の夜、いわゆる重陽(ちょうよう・別名、菊の節句)の前日。
菊の花を真綿で覆って、その夜露と香りとを移しとって、重陽の節句に使用したらしい。
菊の持つ不老、そして、若返りの効を願いつつ、その綿で肌をなでまわすと…、お試しアレ(笑)。
別名、菊綿・着せ綿・菊の綿。
さて、明日、重陽。
古の雅・・・平安時代の宮中にトリップして、観菊の宴でも如何でしょう。
出来れば日本酒の杯に、菊の花を一片浮かべ、酌み交し、長寿を願い、一句でも・・・。

綿着ても同じ浮世ぞ霜の菊/各務支考
綿着せて十ほど若し菊の花/小林一茶
白菊や着せ綿まゐる指の反リ/田川移竹
菊の被綿をもらいし米寿かや/小阪律子
湯上りの背に菊綿をのせらるる/小栗釣月

新酒。
征く君に熱き新酒とおぼえけれ/石橋秀野

新酒の名「銀河鉄道」届けらる/小澤克己

生きてあることのうれしき新酒哉/吉井勇

私の地元には、酒蔵が二つもアルんですヨ~、ありがたやぁ~。
みんな新酒を楽しみにしています、まずは、ひやおろしデスかね~。


酒蔵や大きな酒屋の軒先に、古より新酒ができた合図として杉玉(酒林)が吊るされルンです。
青々とした杉玉は爽やかで、嬉しいお知らせの風習ですネ~、私の町でも続いています。

昔は、新米が穫れるとすぐに造ったので、「新酒」は、秋の季語となっていますが、現在は寒造が主流となっていますネ。
新酒、他に、「新走(あらばしり)」とも呼ばれています、それは、機会があれば。

新酒汲むわれの身ぬちに澱すこし/藤村真理
わが句碑を見てきし夜の新酒酌む/小澤克己
口中の闇に新酒の雫かな/延広禎一
強情を褒められてゐる新酒かな/高田令子
新酒酌みおのづと昭和語り出す/泉田秋硯
亡き友の数の土器(かわらけ)新酒酌む/小栗釣月

