花野。
風もまた旅人なりし花野径/中川聰子

花野は秋の季語、お花畑が夏の季語となります。
天渺々(びょうびょう)笑ひたくなりし花野かな/渡辺水巴

たまには花野にお出かけして海を見るのもいいなぁ。
秋の季語、花野は、秋の美しい花々が咲き乱れている様を言います。

でも、本来は、傍題の、花野原、花野道などの広々とした花が咲き誇る草原を言うのでしょうネ。
私の地元では海に続く花野がキレイです。

潮風に押さるるままに大花野/小栗釣月
灯台の真白を照らす花野かな/小栗釣月

夕暮れの花野抜けくる童唄/小澤克己
もう逢わぬ距(へだた)りは花野にも似て/澁谷道
夕花野魔鏡となりしコンパクト/井上菜摘子
ジェット機の次々と発つ花野かな/長谷川通子
神隠るごとく花野に母がゐる/橋本美代子
大花野ここは女神の通り道/中村和代
花野原狛犬残る開墾地/小栗釣月

透き通る声に恋する花野かな/小栗釣月

映画・【おらおらでひとりいぐも】を観た。
今週は既に五本観ました。←まじ、ギターの練習しろよ。
タイトルが、宮沢賢治の詩「永訣の朝」の一節だったんで、ネ…つい。
わたしたちが いっしょに そだってきた あひだ
みなれた ちやわんの この 藍のもやうにも
もう けふ おまへは わかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo)
「永訣の朝」は五十六行。
そして、この一行のみローマ字表記。
「しとり えぐも」は、「一人 逝くの」と、言う意味でしょう。
機会があれば、「永訣の朝」の全文はお読みください。
ネットでもすぐに見つかるはずですヨ。
さて、原作は、第54回文藝賞と第158回芥川賞を受賞した若竹千佐子の小説。

なるほど、若竹女史は岩手県遠野市の出身だそうな、うんうん納得(笑)。
で、映画、【おらおらでひとりいぐも】。

一人暮らしの私なんかには自虐的でなかなか良い作品でした。
しかし、お若い人にはわからんだろうなぁ~、と、思いますデスはい。
コミカルでヤヤしらけつつ、哲学的で、奇想天外、捧腹絶倒?、虚実の乱舞的な作品デス。
さすがに、マンモスは…、いやいや、なんでもありの時代ですからね~。

まぁ、実は、原作は未読なのでありまして、ゆえに、映像のシュールさに…笑いました。
沖田修一監督の、「温み」と「間」は、好きですね。
田中裕子、蒼井優、濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎、東出昌大、良かったなぁ。
もはや、ポスト樹木希林は、田中裕子でしょうネ。

昭和生まれの、孫のいる人にオススメです(笑)。