君は虹の中にいる・・・。
私は不幸で、不自由で、さらに孤独であると・・・。
御両親は健在、兄は結婚して実家を継いでいる。
姉と妹も嫁ぎ家庭円満、実家の近郊の持ち家に住んでいる。
本人は上場企業ではないが、そこそこ名のアル会社に勤務。
そして、妻と二人の娘との四人家族+犬が一匹、皆健康で明るい。
後輩某『先輩は幸せですか?』
私「う~ん(笑)、不幸ではないと思うよ(笑)」
後輩某『先輩は自由ですよね』
私「結果的に自由なんだけどサ(笑)、気楽だけどイロイロ大変だよ」
後輩某『職場でも、家族と一緒でも、友達と飲んでいても・・・孤独なんです』
私「みんな孤独だよね、自分の事は自分しかワカラナイ、いや、自分の事もワカラナイ」
いろいろ話をしても、後輩某が何を求めているのか私にもワカラナイ。
うん、世の中、ワカラナイ事だらけなんです。
私「趣味とかあったっけ」
後輩某『ありません、ゴルフぐらいかなぁ』
私「趣味があるとイイよね」
後輩某『先輩は趣味が多彩ですよね』
私「えぇ~(笑)、根暗だからさ、インドアなモノばかりでさぁ」
後輩某『人前で演奏するなんて凄い事ですよ』
私「いやぁ~(笑)、あははは」
後輩某『はい、趣味は欲しいですね』
私「コロナ禍が落ち着いたら、一週間ぐらいネットカフェかサウナにでも寝泊まりしては?」
後輩某『一人になって考えろと・・・』
私「そうだね、わかってるじゃない」
後輩某『はぁ・・・』
私「君は虹の中にいるんだよ」
後輩某『え?』
私「詩とか読む人だっけ(笑)」
後輩某『全然・・・』
私「だよね、たまにはイイんですけどね~(笑)」
後輩某『はぁ・・・』
~虹の足~ 吉野弘
雨があがって
雲間から
乾麺みたいに真直な
陽射しがたくさん地上に刺さり
行手に榛名山が見えたころ
山路を登るバスの中で見たのだ、虹の足を。
眼下にひろがる田圃の上に
虹がそっと足を下ろしたのを!
野面にすらりと足を置いて
虹のアーチが軽やかに
すっくと空に立ったのを!
その虹の足の底に
小さな村といくつかの家が
すっぽり抱かれて染められていたのだ。
それなのに
家から飛び出して虹の足にさわろうとする人影は見えない。
―――おーい、君の家が虹の中にあるぞオ
乗客たちは頬を火照らせ
野面に立った虹の足に見とれた。
多分、あれはバスの中の僕らには見えて
村の人々には見えないのだ。
そんなこともあるのだろう
他人には見えて
自分には見えない幸福の中で
格別驚きもせず
幸福に生きていることが――。

後輩某よ。
君は虹の中にいる・・・。

あはれこの瓦礫の都冬の虹/富澤赤黄男
今日ありてこその未来ぞ冬の虹/鷹羽狩行
足跡に祝報の来る冬の虹/瀬下るか
冬の虹向うの街は知らざりし/石脇みはる
冬の虹消えて響(どよめ)く余震あり/小栗釣月

昨日(1/18)は、新春恒例の宮中行事「歌会始の儀」が皇居でおこなわれました。
ちなみに、2022年のお題は「窓」。
「英国の 学び舎に立つ時迎へ 開かれそむる世界への窓」愛子内親王殿下。
「新しき 住まひとなれる吹上の 窓から望む 大樹のみどり」皇后陛下。
「世界との 行き来難(がた)かる世はつづき 窓開く日を偏(ひとへ)に願ふ」天皇陛下。
あ~、いつの日にか、一般の入選者になりたいです。
毎年チャレンジはしているんですがね(笑)。
