三月三十一日~七十二候・その十二[雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)]+ 『三月尽』。
湖のべのこよひのやどりともしきに春神鳴(はるかみなり)のなりわたるなり/古泉千樫
春雷や胸の上なる夜の厚み/細見綾子
春雷や煙草の箱に駱駝の絵/横山きっこ

二十四節気・第四・【春分】・末候、雷乃発声。
雷は、単体だと、夏の季語です。
天候不順な日本海側では、秋冬に多いのです。
しかし、全国的には、圧倒的に夏に多いのであります。
春の雷は夏とは違いすぐ鳴り止むが音は大きいのが特徴。
田畑への恵みの雨を呼ぶ春の雷と言う事になるだろうか?
春の雷は、寒冷前線によって積乱雲が発生して、起こります。
また、春雷には雹が降りやすいという特徴もあります。
山菜採りの時に山で3㎝程の雹に叩かれた事があります。
友人の車はボコボコに凹みました。
では、春雷にて。

好きなものは玻璃薔薇雨駅指春雷/鈴木しづ子
春雷の地平線より来りけり/小川龍雄
春雷や魂はいま薔薇色に/わたなべじゅんこ
春雷に応へて熱きフラメンコ/吉村春風子
春雷に取られてしまひ真夜の夢/木内美保子
春雷や水の無き田の震るるほど/小栗釣月

支那の宣明暦、七十二候・その十二、始雷(いなずまはじめてなる)。
雷乃発声とホボ同じ意味ですが、稲妻(秋の季語)の意味のようです。
『三月尽』
桜日記三月尽と書き納む/正岡子規
三月尽、陰暦(旧暦)では春の最後の日にあたるので弥生尽とも言う。
陰暦(旧暦)の春の定義は、一月から三月ですから、あ~春が終わるヨ~なんですね。
しかし、新暦では春はまだまだ浅く・・・新学期、新入学、そして就職などの準備で多忙な月末であります。
ポストまで通ふ日多し三月尽/馬場利春

三月盡(尽)遊學ずれの子が戻る/相馬遷子
米寿祝鉄斎の軸三月尽/藤田京子
傍観の諦観となり三月尽/山本浪子
方舟に乗りたる心地三月尽/山口ひろよ
娘抱く乳飲み子香る三月尽/小栗釣月

私の城下、桜がボチボチ(笑)。

初花や観音様も見上げをり/小栗釣月
そして、やっと、紫木蓮、白木蓮が咲き始めました。


咲き初めの白木蓮の空に月/小栗釣月
残念ながら昼の月が上手く写っていませんね。
紫木蓮、白木蓮は、盛りになりましたら、詠みまぁぁぁぁす。
令和五年(2023年)三月、【俳句愛好会・幹】今月の句、落掌致しました。
今年は桜が早かったですね。
暖かいエリアの連衆のBlogでは、
三月の中旬から桜の開花報告ラッシュでした。
なんと、私の城下、二十七日に開花致しました。
いやぁ~、ビックリポンですわぁぁぁぁ。
春爛漫。
さて、今月の俳句愛好会『幹』の兼題は、春の季語、『蝌蚪(かと)』でした。

他、春の季語で自由題。
投稿いただいた会員の皆さんへの、添削&アドバイスは随時。
会報は四月十日ごろまで送付します。
尚、次回の兼題は、春の季語、『風車(かざぐるま)』とします。

意味が違う、ふうしゃ、とも読むからヤヤこしい(笑)。
あたたかき風がぐるぐる風車/正岡子規
早春に多く作られた事から、春の季語となりました。
風車は玩具として、支那から渡来しました。
これが支那の風車らしい・・・ちょっと感じが違いますネ。

平安時代には既に子供の玩具としての記録があります。
五色の紙製のモノが基本だったようです。

室町時代から武士へ、江戸期には庶民に広がります。


雑司ヶ谷鬼子母神の参詣土産でもあり縁起物として流行しました。


今も昔と同じように売られています。

では、例句。

折り紙と待ち針あれば風ぐるま/藤埜(ふじの)まさ志
風車が完成していないのです。
回っていない風車の句は珍しいでしょうね。
でも、明らかに読み手は、瞬時に映像化しているハズです。
制作過程と回り始めた風車を・・・どうです、回り始めたでしょ(笑)。
面白真面目な熟練の名句です。
街角の風を売るなり風車/三好達治
春の街角で風車が売られています。
娘達が小さい時に、春、デパートの入口で風車を買った記憶がある。
さすが詩人であります、「風を売るなり」・・・、う~ん、郷愁を誘うなぁ。
ややキザでもありますがネ(笑)。
風車にもためらひの一二秒/福井隆子
風を受けた風車が回りだすまで、多少のタイムラグがある。
ヨク観察していますね・・・それを、ためらいとした。
詠めそうで詠めませんね。
軋みゐるペットボトルの風車/西畑敦子
玩具の風車では無く、畑に刺さっている風車でしょう。
モグラ対策の為の風車です。
この風車の効果は、音ではなく地中に放つ振動です。
それをモグラが敵だと感じ畑に近づかなくなるとの事。
笑つても泣いても回る風車/高橋将夫
赤ちゃん?が駄々をこねているのか。
母の背に負ぶさっているのではないか。
あやしてもあやしても泣き続けます。
母親の困り顔が浮かびます。
止ることばかり考へ風車/後藤比奈夫
逆もまた真なり(笑)。
本当は、風車は回りたくないんだよ、と、作者は言うのです。
でも、止まっているのは風車ではない。
動いてこそでは?との葛藤が見え隠れします。
からからと水子地蔵に風車/安藤久美子
風車と水子地蔵の句は多い。
この句はシンプルであるがゆえに深い。
そして悲しい。
風車が止まればその余韻に・・・泣き声が・・・。
*水子供養風車(青森市・青龍寺が有名)
風車童女の息の短くて/波戸岡旭
小さな女の子が一生懸命風車に息を吹いている。
でも、肺活量がないから息が続かないので上手く回りません。
ちょっと可笑しくて、ちょっと悲しい。
童女は不満げです(笑)。
よく笑ふ嬰(やや)よく回る風車/見舘定子
この句で想い出しました。
昔は乳母車・・・いや、ベビーカーに風車を付けていたなぁ~と。
春に生まれた赤ちゃん、春風の祝福を受けつつ笑います。
お母さんも笑います、風車も・・・。
風車もう父の手を握らざる/佐藤郁良
作者は、あの俳句甲子園常連校。
開成高等学校国語科教諭であり、俳句部の顧問。
お嬢さんがいるのだろう・・・風車に幼い時のイメージが重なったのか。
女の子は親離れが早い、思春期には父親との接触を嫌う娘も多いです。
父親ってなんか損だなぁ~(笑)。

他、春の季語で自由題。
締切四月二十八日です。
会員以外の方の投稿も大歓迎。
鍵コメやメッセージにて送って頂ければ良いです。
『リアル初音』+【立原道造の命日】。
早朝。
初音♪キタ━(゚∀゚)━!♪
待望の初音です、去年よりスンゴイ早いです。
それも-1℃なのに、偉いぞぉぉぉぉ。
地元に帰ってから、三月に初音を聴いたのは初めてですヨ。
麗かや花鳥風月揃い踏み/小栗釣月
早春の使者、春告鳥・・・鶯。

鳴き方も、お上手。
完璧な、『ホゥゥゥホケキョ』。
どこで修行をしてきたんだろう(笑)。
初音とはですね。
春季、初めて聴く鳥の声などデス。
が、俳句の世界では初音と言えば、鶯です。

二度三度初音をきゝて鍬高く/射場清子
初音かな森の奥へと踏み入れば/小澤克己
願ひごと叶ひし今朝の初音かな/小川昭江
ふたこゑのあとの続かぬ初音かな/今成公江
初音かな夫を起こしてより鳴かず/小島とよ子
朝ぼらけ胸に焔(ほむら)の初音かな/小栗釣月

歌の通りですね。
春は名のみの~♪
風の寒さや~♪
谷の鶯歌は思えど~♪
時にあらずと~♪
声も立てず~♪
時にあらずと~♪
声も立てず~♪
「早春賦」、6/8拍子が春らしいよね~。
平地の鶯は寒くても鳴いていますヨ(笑)。
今日は良い事がありそうな、フフフフッ。
【立原道造(たちはらみちぞう)の命日】。
本日、三月二十九日。
建築家・詩人・歌人・俳人の立原道造の命日です。

1914年(大正3年)7月30日~1939年(昭和14年)3月29日
奇しくも、日本が第二次大戦に突入する前夜に亡くなりました。
若過ぎるなぁ。
自身の詩集『風信子叢書』から「風信子(ヒヤシンス)忌」とも呼ばれる。
魂はよるべなくふるえている。
しかし僕は僕の運命を愛する。
~夢みたものは・・・・~ 立原道造
夢みたものは ひとつの幸福
ねがつたものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある
日傘をさした 田舎の娘らが着かざつて 唄をうたつてゐる
大きなまるい輪をかいて田舎の娘らが 踊りををどつてゐる
告げて うたつてゐるのは 青い翼の一羽の 小鳥低い枝で うたつてゐる
夢みたものは ひとつの愛
ねがつたものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と
堀辰雄に師事し堀の主宰する『四季』の同人。
堀の紹介で室生犀星にも教えを乞う。
空想的?疑似恋愛体験をソネット形式でうたった。
第一詩集詩集『萱草(わすれなぐさ)に寄(よ)す』は有名。

~虹とひとと~ 立原道造
雨あがりのしづかな風がそよいでゐた あのとき
叢は露の雫にまだ濡れて 蜘蛛の念珠も光つてゐた
東の空には ゆるやかな虹がかかつてゐた
僕らはだまつて立つてゐた 黙つて!
ああ何もかもあのままだ おまへはそのとき
僕を見上げてゐた 僕には何もすることがなかつたから
(僕はおまへを愛してゐたのに)
(おまへは僕を愛してゐたのに)
また風が吹いてゐる また雲がながれてゐる
明るい青い暑い空に 何のかはりもなかつたやうに
小鳥のうたがひびいてゐる 花のいろがにほつてゐる
おまへの睫毛にも ちひさな虹が憩んでゐることだらう
(しかしおまへはもう僕を愛してゐない
僕はもうおまへを愛してゐない)
「5月のそよ風をゼリーにして持ってきてください」
死の床で友人たちから、何か欲しいものはないかと問われ、この言葉を返したという。
難解な詩も多いけれど、魅了されます。
合掌。
3/28・本日、三ツ矢サイダーの日。
三つ矢サイダーきやうだい毀れやすきかな/奥田筆子
兄弟姉妹は他人の始まりなのか・・・。
今、一人用のペットボトルが普通です。
しかし、昔のサイダーは大きな瓶だったとか?
それを家族で注ぎ分けて飲んだとの事。

え~、本日、三ツ矢サイダーの日。
「み(3)つ(2)や(8)」の語呂合わせ、アサヒ飲料が制定しました。
私が幼少の頃、サイダーと言えば、唯一無二、三ツ矢サイダーでしたネ。
え~、三ツ矢サイダーの販売開始は、1884年でありますヨ。

日本に炭酸飲料が伝えられたのは1853年の事。
あのペリー提督が炭酸レモネードを幕府の役人に振舞ったのが最初。

なんと140周年ちゅ~事になるんですね、凄いぃぃぃぃ。
あ、私がよく飲んでいたのがコレコレ、懐かしいネ~。
そして、CMの風吹ジュンがメチャクチャ可愛かったのですぅぅうぅ。
歌は下手だったけど(笑)。


サイダーの胸の谷間に光落つ/小栗釣月
「サイダー」は夏の季語であります。
まぁ、魁て・・・。
え~昨今は炭酸ブーム。
そのレジェンドが「三つ矢」・・・正確には「三ツ矢」でございますよ。
ワイシャツは白くサイダー溢るゝ卓/三島由紀夫
三島らしい句ですね。
この若き清潔感・・・学習院の中等科の頃の創作らしい。
なんと、六歳から俳句を作っていたと言うからサスガですね。

サイダー瓶全山の青透き通る/三好潤子
サイダーや小学校歌口づさむ/高田令子
サイダーのシュワッとさざ波ほどの恋/一門彰子
サイダーの甘き濁りやジュブナイル/篠田大佳
サイダーの弾けて姉の誕生日/小栗釣月

サイダーの海にヴィーナスの爆誕/小栗釣月
海の泡より生まれた・・・。
たまには、ボッティチェッリ以外のヴィーナスを・・・。

わたくし、天秤座で、守護星は、愛の星、美の神ヴィーナスの金星でございます。
オホホホホ。
あ、オススメのアニメです。
『サイダーのように言葉が湧き上がる/2021年』

珍しい俳句のアニメ(笑)。
お題も、5・7・5・・・俳句になっております。
劇中の俳句はすべて現役の高校生が創作。
俳句甲子園の常連校の皆さんです。
若い感性の俳句を読むだけでも感動ものデス。
私の城下の標準木・・・桜、咲きました。
早過ぎ・・・ビックリポン。
浜風に初めて揺るる初桜/小栗釣月
薄桃の君の唇桜咲く/小栗釣月
花鳥風月・・・あとは、初音待ち(笑)。
鶯笛。
ポケットの鶯笛に手の触れぬ/佐藤和枝

子供の頃、誰に作ってもらったんだろう。
竹蜻蛉と鶯笛。
そうだ、竹で凧も作ったなぁ。
鶯笛・・・上手に吹けば、鶯そっくりの音が出るだよね。
親友達と日光に旅行に行った時に売ってたなぁ。

うぐひす笛吹きつ商ふ梅日和/井口初江
鶯笛買うてすぐ吹く大宰府路/秋千晴

梅に鶯。
梅園の販売所で売られていることもあるね。
名物らしいけど(笑)。


買うて来し鶯笛の吹きどころ/小田ひろ
鶯笛、どこで吹くかが問題だっ。
私より、少し上の世代の方は郷愁の玩具なのではないだろうか・・・。
霞む野に鶯笛を籟すかな/松瀬青々
去年の私のトコの初音は四月四日。
あ、初音をご存じない。
初音とはですね~、春季、はじめて聞く鳥の声などデス。
俳句の世界では初音と言えば、鶯です。
今年は桜も早いみたいだから、初音も早いかしらネ~♪
親子して鶯笛を吹きにけり/婆羅
鶯笛の歴史は古いのです。
元々は子供の玩具では無く、鶯の鳴き合わせの訓練用に用いられたのが最初ですネ。
鶯のつけ声(声ならし)には不可欠のモノでした。
ちなみに、鶯の鳴き合わせとは、文字通り、手飼いの鶯を持ち寄りその声の優劣を競ったゲームのことです。

室町時代からあった競技らしく、江戸期の文化年間に大ブームとなったようです。
もちろん現在は違法です、鶯を捕獲する事さえ出来ません。
雀より鶯多き根岸かな/正岡子規
明治でもそうなんですから、江戸期に鶯はどんだけいたのでしょうかね~(笑)。


口笛へ鶯笛で応へけり/石田嘉江
叱られてひねもす鶯笛を吹く/山越勝美
山路来て鶯笛にだまさるる/石添火人
望楼に鶯笛のはねかへる/九万田一海
神苑に鶯笛と笙響く/小栗釣月

早く本物の鶯が鳴かないかしら(笑)。
本日、朝から野暮用が続き帰宅未定。
コメントの返信とご訪問が遅れます。
ごめんなさい。