三月一日~七十二候・その六[草木萌動(そうもくめばえいずる)]
石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも/志貴皇子
大陸のラジオ番組下萌ゆる/野口沙魚
名水の井戸の飛沫や下萌ゆる/小栗釣月

二十四節気・第二・【雨水】・末候、草木萌動。
枯れ色だった野山の足もとや庭木の先が薄緑に芽吹く頃。
やわらかい春の日に抱かれて、命が再生し、また、萌えはじめます。
俳句では、草木萌動の幸福の瞬間を『下萌(したもえ)』、下萌ゆる、などとして詠みます。

下萌や素足の子等と地鎮祭/小栗釣月
ちなみに、下萌は草萌と同じ意味のようですがちょっと違うのです。
「草萌」には草の青、『下萌』には土の黒を感じます。
さらに、「草萌」は土から堂々と青々と萌え出る、『下萌』は人目につかずこっそりと萌え出る、そんなイメージです。
ゆえに、『下萌』の「下」は「枯草の下」の意味なのです。
厳しい冬を耐えたその生命が発する声なき喜びでしょう。
また、古来、和歌では、『下萌』は密かにに思い焦がれる意味に使われました。
では、春の季語・・・『下萌』。
傍題、萌、草萌 、春の草、など。
下萌えて土中に楽のおこりたる/星野立子
毬となる園児の声や下萌ゆる/新開一哉
土だけの城趾に佇(た)てり下萌ゆる/岩田育左右
わが影をふはりと乗せて下萌ゆる/眞木礼子
下萌えに坐し潮騒を聞きゐたり/吉原一暁
下萌や薄桃色の鳩の足/加藤あけみ
下萌の畦伸びてきて牛の声/大串章
下萌や赤子をあやすランドセル/影山わこ
ままごとのおとうさんやくしたもゆる/小栗釣月
支那の宣明暦、七十二候・その六も、草木萌動。
同じであります。
さぁ~、三月が始まります。
春が近いです。
三月の甘納豆のうふふふふ/坪内稔典

三月の苺だらけのあれやこれ/小栗釣月

本日より・・・第24回 城下町村上 町屋の人形さま巡り、始まります。
あ、卒業式のエリアも多いかな。
おめでとうございます。
輝かしい未来を祈念しています。