2023/03/06・本日【啓蟄】+『蟄虫啓戸』
啓蟄や娘を箱に入れ直し/飯島士朗

二十四節気・第三・【啓蟄(けいちつ)】。
「陽気地中に動き、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也」
冬籠りをしていた虫たちが地表に這い出る頃。
啓(けい)は「ひらく」、蟄(ちつ)は「土中で冬ごもりしている虫」の意味。
実際、虫たちが目覚めるのは、平均気温が10℃ぐらいにならないと、駄目なようです。
ところで、漢字の「虫」とは毒蛇の蝮を表した象形文字なのですヨ。
昔々は、爬虫類も両生類も虫と呼んでいたんです。
あの名作漫画、『蟲師』の蟲と言う漢字が本来の昆虫を表す漢字であり、「虫」と区別していたのですが略字として現在は虫を使うようになったらしいです。
では、『啓蟄』にて・・・。

うごめけるかや啓蟄の土のいろ/岡星明
啓蟄にすこし先立つ旅の虫/亀丸公俊
啓蟄のとぐろを卷いてゐる風よ/島田牙城
啓蟄の大地に杭を打つ響き/中村七三郎
啓蟄や晩酌前の腹の虫/小栗釣月

二十四節気・第三・【啓蟄】・初候。
七十二候・その七[蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)]
うもれ井のうもれて過す春の日をおもしろげにも鳴く蛙かな/樋口一葉

冬眠をしていた虫たちが地表に現れること。
昆虫や蛇や蛙などが、戸(穴)を啓(ひら)いて這い出てきます。
里山も無くなりつつアル現在、この季語の風景をいつまで見る事ができるかなぁ。
昔の人々は、雷の音に虫たちが驚いて地中から外へ飛び出して来ると思っていたようであります。
ゆえに、この時期の雷を、『虫出雷(むしだしかみなり)』と呼んだり致します。
と、言う事で・・・、『地虫出づ』or『地虫穴を出る』

地虫出て犬の鼻息受けにけり/古谷彰宏
出し穴を離れずにゐる地虫かな/粟津松彩子
蒲団叩く音を二階に地虫出づ/平本くらら
地虫出づ兵馬俑を引き連れて/望月暢孝
地虫出てはや猫どもに飾らるる/小栗釣月

支那の宣明暦での七十二候・その七は、桃始華(ももはじめてさく) 。
啓蟄の次候、七十二候・その八と同じであります。
今日は、父の命日。
困った父でね~(笑)。
お暇な方はココ→2008年03月06日 父の命日。