六月一日~七十二候・その二十四[麦秋至(むぎのときいたる)]
うちわたすこの麦畑のゆたかなるさまをし見れば夏たけにけり/若山牧水
麦秋や自転車こぎて宣教師/永井芙美

二十四節気・第七・【小満】・末候、麦秋至。
麦の穂が実り、金色の穂をつけて収穫期を迎えた初夏の頃。
ゆえに、麦にとってのは、この時期が、モノの実る「秋」なのです。
麦穂を揺らしながら吹き渡る風を麦嵐、また降る雨を麦雨と呼びます。
他、麦星なんて星が・・・正式にはアルクトゥルス(牛飼座)ですがネ。
ちなみに、真珠星、スピカ(乙女座)は、麦星の奥様です。
銀河鉄道麦秋に飛び立てり/小栗釣月
銀河ステーションからの旅立ちがいつなのかはワカラナイ。
しかし、私ならば初夏に、麦秋の時に、旅立ちたいものです。

季語としては、麦の秋、麦秋、麦刈。

原節子・小津安二郎麦の秋/吉田汀史
*映画の題は、「麦の秋」ではなく『麦秋』[1951年]

駅弁の短き箸や麦の秋/荻野美佐子
太陽は錬金術師麦の秋/杉良介
踏切で手を振る少女麦の秋/鶴田武子
あるったけ鎌研ぐ父や麦の秋/小川花久
長距離恋愛麦秋を行き来する/松永史子
麦秋の水郷棹を休めつつ/堀井浮堂
どこまでも麦秋雲の影走る/渡邊美保
麦秋や忘却のアルルの女/小栗釣月

1888年の二月、ゴッホはパリから南仏アルルに移り住んだ。
初夏、ゴッホは小麦畑を油彩で10点ほど描いたと言われる。
弟テオへの手紙。
前略
自然の中にたくさんの発見があって、それ以外のことを考える時間がほとんどない。
今はちょうど収穫の時期にあたるからね。
中略
この一週間はずっと小麦畑の中にいて、太陽にさらされながらとにかく仕事をしたよ。
1888年6月21日。
麦秋や手紙は太陽がいっぱい/小栗釣月
新しい発見こそがすべての藝術の根幹であります。
麦秋やアルルはヤポンの陽光/小栗釣月
なぜゴッホはアルルに惹かれたのでしょうか?
その理由の一つが日本の浮世絵の明るさです。
浮世絵には、影が描かれていない事から、ゴッホは、日本を光の国と考えていました。
そして日本のような明るさを求めてアルルへと移住したのです。
アルルに到着したその日は雪でしたが、それでも日本のようだとゴッホは大喜びしたと言います。

今日から六月・・・しかし実感ZERO。
明日から雨かぁ~、う~ん。