9月22日~七十二候・その46[雷乃収声/かみなりこれすなわちこえをおさむ]
稲妻や白き茶わんに白き飯/吉川英治

二十四節気の秋分・初候、雷乃収声。
夏の季語である雷が収まる頃。
積乱雲と夕立の変わりに、鱗雲があらわれます。
「暑さ寒さも彼岸まで」・・・本格的な秋のとなります。
「稲妻」とは・・・古人曰く「光あつて雷ならざるをいふなり」。
俳句的な稲妻は、夏の雷よりも遠く短い、雨も音もなく、空を駆ける。
稲妻は、稲の夫(つま)の意味で、稲妻によって稲が実る、と言う俗説により秋の季語となっています。
ゆえに、雷ではなく、秋の稲妻にて・・・。

稲妻や世をすねて住む竹の奥/永井荷風
いなづまの花櫛に憑く舞子かな/後藤夜半
いなびかり北よりすれば北を見る/橋本多佳子
稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ/中村汀女
稲妻や童のごとき母の貌/恩田秀子
稲妻の沁みとほりたる喪服脱ぐ/神蔵器
稲妻に眠れぬ枕裏返す/泉田秋硯
別れ来て後の稲妻の連弾/小栗釣月
