1月30日~七十二候・その72[鶏始乳/にわとりはじめてとやにつく]
今後の七十二候シリーズは、お休みします。
息の緒に我が思ふ君は鶏が鳴く東の坂を今日か越ゆらむ/詠み人しらず
*万葉人も卵を「鶏(とり)の子」と呼んで食していました。
塗椀に割つて重しよ寒卵/石川桂郎

二十四節気の大寒・末候、鶏始乳。

鶏が春の気を感じ、たまごを産み始める頃。
鶏は元々一年中産卵するのですが、
10時間以上の日照があると産卵が促進されるため、
春から夏にかけてが、卵をたくさん産む時期となります。

昔、寒い時期の卵は、栄養が高く滋養に良いとされました。
鶏は、日本へ弥生時代に家畜化されてモノが伝来したらしい。
一般的に食されたのは17世紀ごろからとか・・・。
ぬく飯に落として圓(円)か寒卵/高浜虚子
味噌汁におとすいやしさ寒卵/草間時彦
寒卵煙も見えず雲もなく/知久芳子
ひとすぢの柔毛はなさず寒卵/鷹羽狩行
産みたての温みを握る寒卵/佐々木スガ子
横になる言葉を立てて寒卵/中原道夫
臥せる児のおじやに一つ寒卵/小栗釣月
鶏始乳は、二十四節気の最後[七十二候の終候]、となります。
本日の[大寒・鶏始乳]が終わると、寒の内も終わり、暦の上では春となり(立春・2/4)となるワケです。
新しい節気と候が始まる、今年の立春は二月四日、ゆえに、その日から春の季語となります。