令和五年(2023年)五月、【俳句愛好会・幹】今月の句、落掌致しました。
早くも近畿東海、梅雨入りのようで・・・。
う~ん、梅雨ね~。
でも、雨が降らないとそれはそれで問題ですからね。
それよりも心配なのは頻繁な地震・・・そして水害です。
皆さんも油断なきようにお過ごしくださいマセ。
さて、今月の俳句愛好会『幹』の兼題は、夏の季語、『五月雨(さみだれ)』でした。

他、夏の季語で自由題。
投稿いただいた会員の皆さんへの、添削&アドバイスは随時。
会報は六月十二日ごろまで送付します。
尚、次回の兼題ですが、今回は趣向を変えてまして・・・。
【オノマトペ】を使用した創作とします。
オナマトペ~「擬音語」と「擬態語」と「擬声語」
水枕ガバリと寒い海がある/西東三鬼
*ガバリがオノマトペですよね。
この句のように、わざわざカタカナにする必要はアリマセン。
困ったことに、この句の印象が強過ぎて、ガバリを使えないワケですよ(笑)。
ただ、すべてのオノマトペがこのように効果的であるかは疑問です。
オノマトペは、フランス語の「onomatopée/オノマトペア」を語源とする、音(おん)で象徴的に表したモノ・・・「擬音語」と「擬態語」と「擬声語」です。
具体的には、自然界の音や声、物の状態や動き、人間の心理描写ですね。
「擬音語」と「擬態語」と「擬声語」の、違いについては、自分で調べてみましょう。
オノマトペは、命の力強さ、物質の特性、感情の揺らぎを読み手に伝え、インパクトを与える効果があります。
一種の模倣ですが使い方によってはその物の本質を導き出す手法でもあります。
しかし、物理的且つ慣用的な表現に使うと途端に稚拙で月並みになります。
これは是非とも避けなくてはいけないのです。
一つの「擬音語」と「擬態語」と「擬声語」で、たくさんの意味をもつ場合も問題にもなります。
例えば、ゴロゴロ・・・一日中ごろごろしている、雷がごろごろ鳴る、お腹がごろごろする。
ひらひらと花が舞う、さらさらと塩を振る、しんしんと雪が降る、だらだら、うろうろ、どきどき、はらはら、など。
ありふれた使い古されたオノマトペを使用するとその一句は台無しになります。
月並み以下と言ってもよいでしょう。
手垢のついたオノマトペは要注意なのです。
しかし乍ら、使い古され手垢のついたオノマトペを使用した名句もあります。
春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな/与謝蕪村
しんしんと肺碧きまで海のたび/篠原鳳作 無季
へろへろとワンタンすするクリスマス/秋元不死男
をりとりてはらりとおもきすすきかな/飯田蛇笏
雪嶺よ女ひらりと船に乗る/石田波郷
マヨネーズおろおろ出づる暑さかな/小川軽舟
母の日の母にだらだらしてもらふ/正木ゆう子
三月の甘納豆のうふふふふ/坪内稔典
らあめんのひとひら肉の冬しんしん/石塚友二
涙なし蝶かんかんと触れ合いて/金子兜太
上記の作品のように、ありふれたオノマトペで詩歌句を構成するには並外れた技量が必要になります。
では、どうするか。
そのヒントの一つは短歌にあります。
俳句より短歌ではオノマトペの使用頻度が少ないように思います。
ゆえに、貴重であり参考になるのです。
歌人の佐々木幸綱氏がオノマトペについて非常に面白い考察をしています。
まず、その佐々木幸綱氏の有名なオノマトペを使用した短歌をご紹介。
ひばりひばりぴらぴら鳴いてかけのぼる青空の段直(きだ・すぐ)立つらしき
サキサキとセロリ噛みいてあどけなき汝を愛する理由はいらず
ゆく秋の川びんびんと冷え緊まる夕岸を行き鎮めがたきぞ
因みに、弟子の俵万智だと、こうなる(笑)。
白菜が赤帯しめて店先にうっふんうっふん肩を並べる
自転車のカゴからわんとはみ出してなにか嬉しいセロリの葉っぱ
ふうわりと並んで歩く春の道誰からもみられたいような午後
更に、佐々木幸綱氏の名編。
~オノマトペ先進地 <俳句>~
から、引用させて頂きます。
オノマトペには、現代短歌が忘れている<肉体のリズム>の表現がそこにある。
現代短歌におけるオノマトペというと、すぐ流行の歌謡性(大和言葉[言霊]由来の歌う言語性)を連想されそうだが・・・。
中略。
歌謡性というより、感覚の言語化に際して<肉体>をいかに深くかいくぐったかを示す、<言語の肉体性>、言葉を換えれば<肉声>の問題としてこれを見ていった方がいいのではないか。
私たち短歌を作る者が実践的に俳句から盗むべきものは、この、<言語の肉体性>なのであり、その突出した一つにオノマトペがある、というのが私の考えである。
俳句はリズムで世界を認識するのが得意である。
リズムとは、当然言葉のリズムであるが、言葉のリズムを選びとるのは生きている人間の<言語のリズム>である。
俳人は、だから、おのずと<肉体>を生きることに鋭敏になっているのではないか。
以下、略。
では、現代歌人のオノマトペを使った有名な作品を・・・。
たとへば君 ガサッと落葉すくふよやふに私をさらつて行つてはくれないか/河野裕子
土鳩はどどつぽどどつぽ茨咲く野はねむたくてどどつぽどどつぽ/河野裕子
我慢して生きてゐなくていいのよとぽちよんと言ひて金魚が沈む/河野裕子
べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊/永井陽子
からーんと晴れた空にひばりのこゑもせずねむたさうな遮断機/永井陽子
さやさやさやさあやさやさやげにさやと竹林はひとりの少女を匿す/永井陽子
月ひと夜ふた夜満ちつつ厨房にむりッむりッとたまねぎ芽吹く/小島ゆかり
蟬はみな小さき金の仏にてせんせんせんせん読経のこゑす/小島ゆかり
炎昼のわあんゆうんと歪みつつ樹木は蟬の声に膨らむ/小島ゆかり
俳句でもあれこれ。
むめ(梅)がか(香)にのつと日のでる山路かな/松尾芭蕉
この「のつと(のっと)」と言うオノマトペは大ブームを起こしたとか(笑)。
当時では画期的でした。
白魚のどつと生まるるおぼろ哉/小林一茶
雪解けてクリクリしたる月夜かな/小林一茶
稲妻のうつかりひょんとした顔へ/小林一茶
近代俳句でオノマトペと言えば・・・川端茅舎ですね。
ひらひらと月光降りぬ貝割菜
ひろびろと露曼荼羅の芭蕉かな
一聯(いちれん)の露りんりんと糸芒
露の玉蟻たぢたぢとなりにけり
よよよよと月の光は机下(きか)に来ぬ
如何でしょうか?
参考になりましたか。
オリジナリティの高いオノマトペを創作して欲しいのです。
新しい表現、新しい発見、新しいオノマトペ。
期待しています。
他、夏の季語で自由題。
締切は、六月二十九日です。
会員以外の方の投稿も大歓迎。
鍵コメやメッセージにて送って頂ければ良いです。
コメントの投稿
きくちゃん、こんばんはぁぁぁぁ。
> 忍音は ほえっ きょきょきょきょ かける4で終わり…
> すみません…w
お~、間違いなくホトトギスですね。
私は全然聞いていません。
昼も夜も耳を立てているのに。
私の城下のホトトギスは何処へ行っちゃたんだろう。
hakatahimeさん、こんばんわぁぁぁぁ。
> 一言言ってくれれば良いのですが、、。
> 気分が悪いです(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ 紫陽花も切り花を販売しているお店がありますからね。
それは犯罪ですよね。
不法侵入と窃盗。
ご近所に恵まれませんね。
おはようございますw
忍音は ほえっ きょきょきょきょ かける4で終わり…
すみません…w
こんばんは^o^
一言言ってくれれば良いのですが、、。
気分が悪いです(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ 紫陽花も切り花を販売しているお店がありますからね。
同士、さえきサン、こんばんは。
いえいえ。
お恥ずかしい。
特に短歌は不勉強で・・・。
> 詩歌句におけるオノマトペは本当に難しいですね。
> 上手く決まれば超ファインプレーですが、下手するとボーンヘッドになりかねませんので(笑)。
> 歌人では東直子女史もよく使っています。
はい。
今回は、超近代化人は例題として難し過ぎて(笑)。
> お別れの儀式は長いふぁふぁふぁふぁとうすみずいろのせんぷうきのはね
> という一首は有名ですが、今や本業とでもいうべきジュニア向けの小説などでもよく使われているようです。
ですね。
随筆、小説、マルチです。
> 何かの本の対談で、彼女と穂村弘さんがオノマトペについて語っていたと記憶しているんですが、書名がどうしても思い出せません。
> すみません、既にかなり酔っぱらっています(笑)。
私もです。
短歌はじめました。
かな?
雨さえ降らなければね(笑)。
MINAさん、こんばんわぁぁぁぁ♪
> 日本には四季があり日本古来の色の表現も趣がありますが、
> オノマトペの表現もそれと同じ感覚があります。
はい。
仰る通りですね。
自己主張の弱い日本人らしい感覚ですよね。
> いつでしたかスペインの方とお話ししていたら…
> スペインにはオノマトペはすごく少ないと聞きました。
へぇ~。
あれだけ感情の起伏が激しい人種なのになぁ、不思議。
と、言っても、私が会っていたのは四十年程前です。
一緒に映画を観たんですがいきなり立ち上がってビックリしました。
> 確かに日本のオノマトペの数はとても多くて、
> 同じオノマトペでもそれぞれ意味合いの違いがあり…
> 外国人には使いこなすのがとても難しいようですよ。
そうかもしれませんね。
余りにも多過ぎて、更にオリジナリティに溢れています。
また造語的なオノマトペも小説にガンガン出てきますよね。
英語はオノマトペは割と多い様な。
フランスでは大人はあまりオノマトペを使わない感じですね。
> ほとんどのオノマトペがカタカナ表記ですが、
> どんな俳句を作られるのかとても興味があります♪
会報は会員のみのものですから残念ながら送付できません。
でも、今回、私が詠んだオノマトペ俳句を六月に送らせて頂きますネ。
お楽しみに(笑)。
No title
詩歌句におけるオノマトペは本当に難しいですね。
上手く決まれば超ファインプレーですが、下手するとボーンヘッドになりかねませんので(笑)。
歌人では東直子女史もよく使っています。
お別れの儀式は長いふぁふぁふぁふぁとうすみずいろのせんぷうきのはね
という一首は有名ですが、今や本業とでもいうべきジュニア向けの小説などでもよく使われているようです。
何かの本の対談で、彼女と穂村弘さんがオノマトペについて語っていたと記憶しているんですが、書名がどうしても思い出せません。
すみません、既にかなり酔っぱらっています(笑)。
イオママさん、こんばんはぁぁぁぁぁ。
> 言葉が始まりますね!
> 👶ブーブー🚗
そうですね。
ママとマンマも早いです(笑)。
> 一番最初に息子に見せた本は
> 忘れもしない『もこもこもこ』でした📖
お~。
谷川俊太郎。
> 俳句は私には無理だけど
> 詠むのは好きかも..
はい。
楽しめればOKです。
ありがとうございます。
No title
来月の兼題が「オノマトペを使って」ですかー
日本には四季があり日本古来の色の表現も趣がありますが、
オノマトペの表現もそれと同じ感覚があります。
いつでしたかスペインの方とお話ししていたら…
スペインにはオノマトペはすごく少ないと聞きました。
確かに日本のオノマトペの数はとても多くて、
同じオノマトペでもそれぞれ意味合いの違いがあり…
外国人には使いこなすのがとても難しいようですよ。
ほとんどのオノマトペがカタカナ表記ですが、
どんな俳句を作られるのかとても興味があります♪
.*・゚🌿.∘࿐✩.˚.*・゚
赤ちゃんは擬音語から
言葉が始まりますね!
👶ブーブー🚗
一番最初に息子に見せた本は
忘れもしない『もこもこもこ』でした📖
俳句は私には無理だけど
詠むのは好きかも..
同士、戸部様、こんにちは。
> 講義レベルの内容ですね。
いえいえ。
恐縮です。
ありがとうございます。
> 勉強になりました~。ありがとうございます。
少しでもお役に立てば幸いです。
さぶちゃん大魔王様、こんにちはぁぁぁぁぁ。
はい。
私も挑戦です(笑)。
> 例句には、私が半ば打ちのめされた「うふふふふ」まで添えて。しかも、蛇笏先生まで、この句。詠めますかなあ!挑戦はすれども、「三鬼先生、」ずばり恨みますぜ!
ですよね~。
やるしかありません(笑)。
> 漢詩の初歩を齧ったぐらいで、韻は解らずすっとこどっこいのまま、やまとことばには、頭韻・脚韻の約束などなかろうと油断していたものが、湯八先輩の、音韻を駆使した句に、十七文字でも言葉の響きは大切なんだと思い始めていたところに、オノマトベですからねえ!これをクリアしなければ、ボスキャラの待つステージにはすすめませんでしょうなあ!
俳句の詠み方はいろいろでオノマトペも使わないでOKなんですよね。
正直オノマトペは月並みになりやすいのです、が、物は試し(笑)。
韻だって無理に使う必要は無いし、と、思いますよ。
> チクション習句で、
> オノマトベ ドキリと虹を 掌に握り
> 苺摘み オットケマッケ 美味しさに
> 枇杷の実の 熟せし枝の フルフルと
> 山百合の 熟女の添い寝 キリキリと
> 籐椅子の バタリと風と 競う縁
> しっかりと作りますので!
はい。
楽しみにしています。
オノマトペ論、勉強になりました~
今日のオノマトペ論、密度が濃くて大学の国文学の
講義レベルの内容ですね。
勉強になりました~。ありがとうございます。
オグリン先生へ
例句には、私が半ば打ちのめされた「うふふふふ」まで添えて。しかも、蛇笏先生まで、この句。詠めますかなあ!挑戦はすれども、「三鬼先生、」ずばり恨みますぜ!
漢詩の初歩を齧ったぐらいで、韻は解らずすっとこどっこいのまま、やまとことばには、頭韻・脚韻の約束などなかろうと油断していたものが、湯八先輩の、音韻を駆使した句に、十七文字でも言葉の響きは大切なんだと思い始めていたところに、オノマトベですからねえ!これをクリアしなければ、ボスキャラの待つステージにはすすめませんでしょうなあ!チクション習句で、
オノマトベ ドキリと虹を 掌に握り
苺摘み オットケマッケ 美味しさに
枇杷の実の 熟せし枝の フルフルと
山百合の 熟女の添い寝 キリキリと
籐椅子の バタリと風と 競う縁
しっかりと作りますので!