2023/05/21・本日・【小満】+『蚕起食桑』
小満の水を湛へて千枚田/石川寿夫

二十四節気・第八・小満(しょうまん)。

「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」
万物が・・・、大自然と言い換えても良い、が、太陽を浴びて、
精気に満ち満ちて、生き物達がどんどん成長していく頃デス。
また、秋に蒔いた穀物(麦)が穂をつけて安心した・・・小さく満足した・との説もあります。
草木も新緑から、万緑へと緑を一層深めてゆく季節です。
では、【小満】

小満や枯れるな恋と歌聞ゆ/大柳篤子
小満や父子のたつき(手付き)食ひちがひ/伊藤白潮
小満の風の入りくる納屋の窓/白石正躬
小満の水御穂田(みふーだ・沖縄)を越えゆけり/中本清
小満や畔を横切る乳母車/小栗釣月

緑のグラデーションが美しくなると特に山は生き生きとします。
命は溢れて謳歌しているようですね、緑は命の象徴です。
さて、この【緑】、単独でも夏の季語なのです。
また、古くには、新芽の様な瑞々しさや生命力を表現した意味だとも言われています。

女性の黒くて艶のある髪を、『緑の黒髪』。
赤ちゃんの事を、『みどり児』、本来は緑児と書くのだが、現在では嬰児と書く。
命を実感できたら良いですね。
二十四節気・第七・【小満】・初候。
七十二候・その二十二[蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)]
この年も蚕飼(こがい)する日の近づきて桑おほし立つ五月晴れのもと/上皇后陛下美智子様御歌
日雇ひと共に言荒れ養蚕季/馬場移公子

蚕が、太陽の光を浴びた桑の葉をたくさん食べて成長する頃。
蚕は、「おかいこさま」とも呼ばれ、古より日本の殖産の要でした。
また、家蚕(かさん・人間に飼育されないと死ぬ)とも呼ばれ、野生種は存在しないようです。
近頃は、蚕の繭が絹になるコトを知らない人が多いようですネ。


私が小学生の頃は道端で蚕の繭をお湯に浸しながら、糸を紡ぐ作業を頻繁に見たものですが・・・それが面白くてね~。

蚕、実は晩春の季語でありますが、夏蚕、秋蚕もあり・・・、
確かに養蚕(ようさん)もしくは、蚕飼(こがい)は、春に始まるようですネ。
養蚕は、皇室でも宮中行事と同じ扱いです。
紅葉山御養蚕所が有名ですね。
春、
「御養蚕始の儀」(ごようさんはじめのぎ)
↓
「御給桑行事」(ごきゅうそうぎょうじ)二回
↓
「上蔟」(じょうぞく)
↓
「初繭掻」(はつまゆかき)
↓
初夏、
「御養蚕納の儀」(ごようさんおさめのぎ)
流れはザックリとこんな感じですね。
葉かげなる天蚕はふかく眠りゐて櫟のこずゑ風渡りゆく/上皇后陛下美智子様御歌
上皇后陛下がお詠みになられた御歌、の、天蚕(てんこ・てんさん)とは、
萌黄色の繭をつくる蚕からとれる、絹糸の中でも最高級の糸の事デスね。

この天蚕は独特の光沢を持ち、一般の白い繭の絹に比べて、軽くて柔らかくしわになり難く、「繊維のダイヤモンド」と言われておりまするぅぅぅぅ。
俳句では、【蚕飼】として、多く詠まれています。
焼岳の鳴りいでし夜の蚕飼かな/水原秋桜子
夜の雨ひびき蚕飼の世は去りし/飯田龍太
ちらちらと炎を見たる蚕飼村/広瀬直人
繭白し蚕飼疲れの母午睡/瀧澤伊代次
蚕飼いま大桑どきや日の盛り/石田勝彦
体験のツアーありけり蚕飼村/小栗釣月
この蚕が食用にしているのが桑の葉デス。
私が小さい頃はいたるトコロに桑畑がありましたが、最近は見ませんネ。
そもそも蚕は桑の芽の時期に孵化する様に調整されていたそうなのです。
今はほとんどが輸入なので、国産の絹は貴重品なのでありますヨ。
コメントの投稿
ピーちゃんこサン、おはようございます。
へぇ~。
それは珍しい(笑)。
> 蚕を触るとヒンヤリ冷たいんだそうです。
らしいですね~。
> 私も子供の頃に触ったような気がします。
私もあるような気もするんですが、記憶に無いんですよね。
> 丁度今頃、桑の実も実って居る頃です。
はい。
私の地元では見なくなりました。
> 去年は、桑の実を見つけて喜んでましたが今年は、バッサリ伐られてしまって桑の実を食べられません。残念です。
あ~。
それは残念。
あの紫の実。
懐かしいなぁ。
No title
母が子供の頃、蚕を貰って桑の葉をお小遣いで買ってペットにした事があるそうなんです。
蚕を触るとヒンヤリ冷たいんだそうです。
私も子供の頃に触ったような気がします。
丁度今頃、桑の実も実って居る頃です。
去年は、桑の実を見つけて喜んでましたが今年は、バッサリ伐られてしまって桑の実を食べられません。残念です。
同士、さえきサン、こんばんは。
はい。
好きです。
> 新緑は今が一番美しい時かも知れません。
> 六月になると日々に色濃く、夏の緑になって行きます。
若々しいですね。
なので木洩れ日も軽い。
深緑になると重くなりますからね。
> >私が小学生の頃は道端で蚕の繭をお湯に浸しながら、糸を紡ぐ作業を頻繁に見たものですが・・・それが面白くてね~。
> そのシーンは、残念ながらあの名作『あゝ野麦峠』の中でしか見たことがありません。
そうですね。
その時は、三年生ですね。
それ以後は見ていません。
> 名古屋在住時には、家の近くの里山の麓に放置された昔の桑畑があって、よく実を積みに行ったものです。
へぇ。
放置されて。
> 天蚕の養蚕は、上皇后陛下から皇后陛下に引き継がれていますね。
> 素晴らしい伝統だと思います。
仰る通りですね。
継続は力なりです。
きくちゃん、こんばんはぁぁぁぁ。
実際の養蚕現場だったのですね。
桑畑、見なくなりました。
> 蚕が家畜化された昆虫とは知りませんでした。野生回帰能力を完全に失っているなんて、なんだか怖い気がします…w 繭を茹でるのも、なんだし、、、綿でいいです…w
はい。
今の日本では養蚕はほとんど行われていません。
> 天蚕は見たことがないと思いますが、山では同じヤママユガ科のウスタビガの繭(ヤマカマス)は結構見かけます。糸は取れなさそうだけど、きれいな黄緑色は似てるかな…w
私も白いヤツを見たことがあります。
蝶も小さいなら良いのですが・・・蛾は苦手かなぁ。
No title
新緑は今が一番美しい時かも知れません。
六月になると日々に色濃く、夏の緑になって行きます。
>私が小学生の頃は道端で蚕の繭をお湯に浸しながら、糸を紡ぐ作業を頻繁に見たものですが・・・それが面白くてね~。
そのシーンは、残念ながらあの名作『あゝ野麦峠』の中でしか見たことがありません。
名古屋在住時には、家の近くの里山の麓に放置された昔の桑畑があって、よく実を積みに行ったものです。
天蚕の養蚕は、上皇后陛下から皇后陛下に引き継がれていますね。
素晴らしい伝統だと思います。
No title
蚕が家畜化された昆虫とは知りませんでした。野生回帰能力を完全に失っているなんて、なんだか怖い気がします…w 繭を茹でるのも、なんだし、、、綿でいいです…w
天蚕は見たことがないと思いますが、山では同じヤママユガ科のウスタビガの繭(ヤマカマス)は結構見かけます。糸は取れなさそうだけど、きれいな黄緑色は似てるかな…w
いとこいさん、こんばんはぁぁぁぁ。
そうですね。
日本の産業のTOPでした。
> 母親の子供の頃 お蚕さんがいたようでした。
そうですか。
母の実家の近くに製糸工場があったんですよ。
> シルク 絹の光沢すばらしいですね。好きです。
ハイ。
高級品ですね。
> 萌黄色の絹 美しいでしょうね
> 想像するだけでワクワク 珍しいですね 不思議ですね。
実物は見たことが無いです。
一度、見てみたいですね。
No title
母親の子供の頃 お蚕さんがいたようでした。
シルク 絹の光沢すばらしいですね。好きです。
萌黄色の絹 美しいでしょうね
想像するだけでワクワク 珍しいですね 不思議ですね。
イオママさん、こんにちはぁぁぁぁぁ。
> 思い出しました(笑)
はい。
私の普通の黒髪もなんとかあります(笑)。
> 腰まで長かった髪は
> 夏には幽霊に間違えられたんだった👻
あ~。
伸ばしていましたか。
長い髪が流行った時期がありましたね。
お手入れ、大変でしたよね。
乾くまで大忙し(笑)。
> 髪は長~~~い友達って
> コマーシャルありましたね。
はい。
全然長い友達じゃないですけど~(笑)。
> 気の利いたコメント出来なくて
> すんません(^◇^;)
何を仰いますか。
大喜利じゃありませんから大丈夫です。
いつも訪問とコメント、感謝しています。
さぶちゃん大魔王様、こんにちはぁぁぁぁぁ。
あ~、リアルですね。
たくさん殖産されていたんですね~。
昔は桑畑がありましたね。
> 朝ですからまだ陽は登らず、たいていはミルク色の霧やら靄やらが遠くを霞ませている頃です。得てしたもので、子どもにもはめられる道具があるということは、遠い昔から子どもでさえその労働力を投入していたと思われますが、指輪に刃の着いたもので桑の葉を掻き取り、階段ではなく梯子で屋根裏の蚕室に刈り取った鍬をばらまいていく作業をさせられたことを覚えています。
なるほどね~。
屋根裏で飼っていたのですね。
湿度の関係かなx~、また、広いですからね。
絹は、日本の貿易の要でしたからね。
> 夏の終わりごろには繭が出来上がり、庭の竈に据えられた大釜で、その繭を煮るのですが、まだ子どもだったので、その中に生きている蛹がいるなんて思わずに、鼻を垂らしてみていました。もう、桑畑も少なくなり、安房でも養蚕、やっていたのに桑はみませんね。
昭和の原風景ですね。
今の子供たちに話してもピンとこないでしょう。
> 習句、小満は
> 雨細き 小満の田に 妻と行く
> 畑広し 小満未だ 苗続き
> 田を渡る 風小満の 香りあり
良いです。
ありがとうございます。
TORUさん、こんにちわぁぁぁぁぁ。
そうらしいのですね。
> 天蚕=ヤママユガは、桑じゃなくて、日頃はクタギ、コナラなんかを食しています。宮沢賢治のグスコーブドリの伝記に出てくる「てぐす」も蚕じゃなくて、描写を見る限り、野蚕で、天蚕と同じヤママユガの仲間ですね。
はい。
その様ですね。
家蚕とは別種ですね。
皇室の殖産の歴史は浅く、貞明皇后(大正)からだそうです。
なんで、家蚕じゃなく、天蚕を選ばれたのかはわかりません。
遠音さん、こんにちはぁぁぁぁ。
> 子育て時、 博物館から「ケゴ」を分けて貰い・・
> お蚕さんの成長を見守りました。
へぇ~。
毛蚕ですよ~。
凄いなぁ。
実践されましたか。
> 新鮮な桑の葉が必要で、採りに行ったこと
> 桑を音たてて食べる蚕の様子
はい。
私は小学校で経験しました。
大きな音がします(笑)。
> 虫が 白いまゆになっていくところ
> 繭を破って出てくる蛾になり、ケゴがたくさんとれたことなど
> 一連の作業を思い出しました。
貴重な体験でした。
命の神秘。
> (言葉に記憶違いがあるかも知れません。)
その通りだと思いますよ。
わたしも懐かしいです。
🐦⬛⸒⸒
緑の黒髪..そんな時もあったことを
思い出しました(笑)
腰まで長かった髪は
夏には幽霊に間違えられたんだった👻
髪は長~~~い友達って
コマーシャルありましたね。
気の利いたコメント出来なくて
すんません(^◇^;)
オグリン先生へ
習句、小満は
雨細き 小満の田に 妻と行く
畑広し 小満未だ 苗続き
田を渡る 風小満の 香りあり
No title
天蚕=ヤママユガは、桑じゃなくて、日頃はクタギ、コナラなんかを食しています。宮沢賢治のグスコーブドリの伝記に出てくる「てぐす」も蚕じゃなくて、描写を見る限り、野蚕で、天蚕と同じヤママユガの仲間ですね。
かいこ
お蚕さんの成長を見守りました。
新鮮な桑の葉が必要で、採りに行ったこと
桑を音たてて食べる蚕の様子
虫が 白いまゆになっていくところ
繭を破って出てくる蛾になり、ケゴがたくさんとれたことなど
一連の作業を思い出しました。
(言葉に記憶違いがあるかも知れません。)
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