『幹』会員へ、備忘録Ⅱ。二物衝撃&一物仕立て。

はじめに、
<句・章・一句一章・二句一章について>

「句」とは、文や詩の句切り。
「章」とは、ひとかたまりになって完結している詩文。
「一章」とは、一つのまとまった詩。

「一句一章」とは、この二つを言葉にしたもの。
俳句を詠むときに、切れや止めを作らずに、
ひとかたまりで詠み切る方法。
対象を丁寧でかつ明快に描写できるが、至難の業。

「二句一章」とは、二つの物やイメージを組み合せて言葉にしたもの。
句の中の世界感を広げ、季語や主体を強烈に印象づける方法。
「切字」・「体言止」・ 弱休止「て」などを効果的に用いる。
一般的に、俳句の基本的形式と言われているが・・・。


≪ニ物衝撃≫

「発句はとり合物也(あわせものなり)。
二つとり合わせて、よくとりはやすを上手と云うなり。」
森川許六(芭蕉十哲)著「篇突」

とり合~取り合わせ、配合、二物衝撃、二句一章。

世の中のあらゆる物質は、 一つでは存在してません。
良い仲間、良い組み合わせの場合であれば、
相乗効果でお互いが引き立て合います。

これは、良い、幸せな【取り合わせ】と、言えるでしょう、
互いに本来の実力を発揮する事ができるのですからネ。

ここで重要な話を、
俳句の構造は、大きく二つに分けられます。

ニ物衝撃と一物仕立て、です。

良い、幸せな、【取り合わせ】により、感動を与える句を、
取り合わせの句、または、配合の句と呼びます。

そして、取り合わせの句で、二つの物が共鳴し特別に出す、雰囲気・・・、
相乗効果、刺激、妙味、便益を、ニ物衝撃(にぶつしょうげき)と言います。

ただし、俳人によってニ物衝撃と一物仕立の考え方は様々です。

藤田湘子は、『実作俳句入門』で、
二物(A=季語、B=それ以外のフレーズ)は、
意味で響きあうのではない、と、言っています。


例として、ニ物衝撃と言われる有名な句。

旅人と我が名呼ばれん・初時雨/松尾芭蕉

行く春や・鳥啼き魚の目は泪/松尾芭蕉

名月や・北国日和定めなき/松尾芭蕉

春雨や・ゆるい下駄貸す奈良の宿/与謝蕪村

万緑の中や・吾子の歯生え初むる/中村草田男

初蝶や・吾が三十の袖袂/石田波郷

子を思ふ憶良の歌や・蓬餅「よもぎもち」/竹下しづの女

今日よりは明日が好きなり・ソーダ水/星野椿

この八句は、季語部分がそれ以外の部分と、
【意味】で、結びついているわけではありません。

それなのに、互いの良さを引き立て合っています。

これらの俳句は、基本的に途中に切れが入る俳句(二句一章の俳句)です。

切れの前に登場する物と、後に登場する物が互いに響き合っています。

しかし、取り合わせの俳句、二物衝撃の句は、
途中に切れの入らない一句一章の俳句でも作ることができます。


例として、一句一章のニ物衝撃と言われる有名な句。

今生は病む生なりき鳥頭「とりかぶと」/石田波郷

鰯雲日かげは水の音迅「はや」く/飯田龍太

夏の河赤き鉄鎖のはし浸る/山口誓子   

秋の風豆腐四角き味したり/小川軽舟

廻されて電球ともる一葉忌/鷹羽狩行

夏桔梗老女の帯のたしかさよ/草間時彦


切れる場所はもちろん、一か所、体言止でも良い。

この二物衝撃は、季語にとらわれない、
そこを考えて、いろんな事物と組み合せてみましょう。


季語と合せる物との間には、
程よい距離を置く事が大切で、
あまりにもかけ離れると響きません。

ふたつの取り合せが鮮やかであればあるほど、
インパクトのある、響く句になります。


最初は、対立する言葉を選ぶのが良いでしょう。

大小、高低、明暗、遠近、強弱、神仏などの視点から、
配合すると効果的でしょう。


参考~
《座とはすなわち、たとえば句会で主宰が
「Bに対してAでなければならぬ」といえば、
参加者たちがごく自然に納得する場のことだ。
つまり「Bに対してAでなければならぬ」という意見が、
共有される座(句会あるいは結社、広くてもせいぜい俳壇)の内部でしか、
「二物衝撃」は成立しない。

あらためて強調しておくが、
「二物衝撃」とはあくまでも俳句に固有のレトリッ クである。
それは取合せという俳諧の手法が、
題材を「曲輪の外」に求めてきたという、
座の文学の歴史を抜きにして語ることはできない。
このようは新鮮な取合せを求める俳人たちの、
「終わりなき欲望の運動」がもたらした、
俳句だけのお家事情なのです。》
by仁平勝


≪一物仕立て≫

「発句は、只金(こがね)を打ちのベたる様に作すべし」
向井去来(芭蕉十哲)著「旅寝論」

他の事物と取り合せずに、季語だけに意識を集中して、
【上五から下五まで一気に詠み流す】句の事です。
ゆえに、臨場感が溢れ季語が引立ちますが、
単なる、季語の説明や叙述、報告、補足、追認、になるケースが多く、
一物仕立ては、凡庸になりやすい欠点も併せ持っています。
 

例として一物仕立てと言われている有名な句。

春の海終日のたりのたり哉/与謝蕪村

大蛍ゆらりゆらりと通りけり/小林一茶

流れゆく大根の葉の早さかな/高浜虚子

白牡丹といふといへども紅ほのか/高浜虚子

風吹いて蝶々迅く飛びにけり/高野素十

くろがねの秋の風鈴鳴りにけり/飯田蛇笏
    
秋の鷹風の真ん中を過ぎゆけり/西村逸朗

天心にゆらぎのぼりの藤の花/沢木欣一

神田川祭りの中をながれけり/久保田万太郎


一物仕立ての句は、取り合わせの句に比べて、
創作するのが実はとても難しい、と言うのが、
俳句の世界では一般的な考え方です。

一物仕立ての俳句は、
「月並み」「理屈っぽい」「陳腐」「ありきたり」「安易」
になりやすく、危険です、創作には細心の注意が必要です。


片山由美子氏
「一物仕立て」の俳句は、季語を外したら何の意味もなくなってしまう。
季語こそすべてなのである。

小澤實氏
一物俳句と取り合わせの俳句では季語の使い方が全然違います。
季語を詠む句、季語を描写する句が一物俳句、
季語と季語意外を取り合わせるのが取り合わせ。

夏井いつき氏
『一句一章』や『二句一章』は句切れの問題。
形は切れていても、内容は繋がっている場合もある。
『詠まれる素材』に注目して内容で判断する。
『写生句』は句の構造ではなく、作り方の方法のひとつ、
『写生句』=『一物仕立て』ではないこともある。

俳句道、奥、深し・・・。
プロフィール

オグリン♪

Author:オグリン♪
HEBOギタリストにして俳人:小栗釣月/おぐりちょうげつ(俳句愛好会[幹]主宰)。

TVを観る習慣がありません。
ゆえに毎日、読書・映画・音楽三昧。

新潟県M市在住。

血液型0・天秤座。

好きな言葉!
【廓然無聖/かくねんむしょう】・神仏を尊び神仏に頼らず・真実と誠実と無くしては礼儀は茶番であり芝居である。

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黒澤の初期・ミッドナイトラン・ブレードランナー・Contact・LesMisérable/1998・スモーク・LET THE RIGHT ONE IN
『A』・椿三十郎・『男はつらいよシリーズ』

好きな音楽!
ロック・ブルース・ジャズ・ボサノヴァ・昭和歌謡。

現在の音楽活動!

Chu-Lip(TULIPのE系カバー:sextet)

サボテンズ(TULIP&BeatlesのA系カバー:quartet)

Van-Colors(吉田拓郎のE系カバー:quintet)

KuriSshu(吉田拓郎のカバー:Duo)

Poco a Poco(JPOP/昭和歌謡:Duo)

オグリン(クラシック:Solo)

尊敬する日本人!
聖徳太子・弘法大師・法爾大師・西行法師・楠正成・大谷刑部・真田幸村・立花宗茂・保科正之・横井也有・大愚良寛・吉田松陰・二宮尊徳・濱口梧陵・緒方洪庵・新渡戸稲造・高橋是清・南方熊楠・正岡子規・嘉納治五郞・八田與一・白州次郎・司馬遼太郎・宋英傑・狩谷明・小林益夫。

好きな作家!
歴史モノ(司馬遼太郎・塩野七生)・SF(夢枕獏・神林長平・半村良・山田正紀)・宗教モノ(親鸞・空海)エッセイ(椎名誠・浅田次郎・阿川佐和子)

好きなもの&人!!!
SF・アニメ・宗教全般・映画・読書・麻雀・フラメンコ・赤穂浪士・旗本退屈男・阪神タイガース・理知的な瞳の細身ツンデレちゃん・アルコール全部・ネイビーブルー・黒・桜・薔薇・紅葉・月・虹・東雲・黄昏時・天皇陛下・幕末・猫・うさちゃん・蛍・熱帯魚・亀・鮎・のどぐろ・茸・貝類・タラの子・里芋・お鮨・ラーメン・日本蕎麦・甘口カレー・河豚&鼈・KFC・コーヒー・チョコ・紅茶・京都・スペイン・台湾・仏像・ツチノコ・鋸クワガタ・つげ義春・みうらじゅん・攻殻機動隊・GAMERA・Snoopy・ふなっしー・woodstock・IVY・ミニクーパー。

還暦に自分の句集を出すのが夢です。

自衛隊は国防軍でありますっ♪

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