4/1・本日・【三鬼忌・西東忌】
うつくしき眼と会ふ次の雷待つ間
算術の少年しのび泣けり夏
中年や独語おどろく夜の秋
白馬を少女瀆れて下りにけむ
石炭にシャベル突つ立つ少女の死
僧を乗せしづかに黒い艦が出る
中年や遠くみのれる夜の桃
おそるべき君等の乳房夏来る
露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す
広島や卵食ふ時口ひらく
広島の忌や浮袋砂まみれ
寒燈の一つ一つや国敗れ
本日、四月一日は、
新興俳句の旗手、鬼才と呼ばれた、
西東三鬼の命日です。

1900年(明治33年)5月15日~1962年(昭和37年)4月1日
医師業のかたわら、
外来の患者の誘いにより俳句を始める。
新興俳句系の俳誌「走馬燈」に投句。
「青嶺」「天の川」「ホトトギス」「馬酔木」「京大俳句」など各誌に投句。
三鬼が特定の師につく考えはなかった。
1935年3月、同人誌「扉」を創刊。
1947年、石田波郷、神田秀夫と現代俳句協会を設立。
1952年、「断崖」を創刊、主宰。
角川書店の総合誌『俳句』編集長に就任。
他、功績多数。
【三鬼忌・西東忌】
三鬼忌の雹の水輪の大粒に/石田波郷
三鬼忌の風に花種とばされぬ/石田あき子
三鬼忌や靴の尖もて芝突つく/藤田湘子
三鬼忌の終わりて回る夜のレコード/寺井谷子
三鬼忌の野よりひき抜くハイヒール/正木ゆう子
三鬼句をもう少し。
傍観す女手に鏡餅割るを
頭悪き日やげんげ田に牛暴れ
恋猫と語る女は憎むべし
厖大なる王氏の昼寝端午の日
梅雨はげし百虫足殺せし女と寝る
湖畔亭にヘヤピンこぼれ雷匂ふ
暗く暑く大群衆と花火待つ
秋の夜の漫才消えて拍手消ゆ
モナリザに仮死いつまでも金亀子
けり&かな、使わないワケです。
まさに孤高。