4/15・本日・【藤田湘子/ふじたしょうし】の忌日です。
逢ひにゆく八十八夜の雨の坂
十月やみづの青菜の夕靄も
とろろなど食べ美しき夜とせん
蜥蜴出て遊びゐるのみ牛の視野
炎天にテントを組むは死にたるか
志ん生も文楽も間や軒忍
冬の街戞々[かつかつ]とゆき恋もなし
朝顔を蒔くべきところ猫通る
琴の音や片蔭に犬は睡りつつ
蓼紅しもののみごとに欺けば
受験期や少年犬をかなしめる
春夕好きな言葉を呼びあつめ
物音は一個にひとつ秋はじめ
湯豆腐や死後に褒められようと思ふ
ゆくゆくはわが名も消えて春の暮
私が近代の俳人で、
最も尊敬する、
藤田湘子の忌日です。

1926年1月11日~2005年4月15日
中学在学中に水原秋桜子を知り、
「馬酔木」に投句、秋桜子に師事、
石田波郷に兄事。
後に、俳誌「鷹」を創刊・主宰。
風狂の俳人と称される、
鬼才、中原道夫氏は・・・、
藤田湘子を以下の様に評している。
「多作によって素材の幅が広がり、
湘子俳句の底辺に流れる叙情性に加え、
俳句本来の挨拶性、即興性、諧謔性を獲得することになった」
藤田氏の俳句入門書はいまでもバイブルである。
「俳句は意味ではない、リズムだ」
との、問題発言?も有名です。
では、他の句も幾つか。
逢ひにゆく八十八夜の雨の坂
小説の発端汗の捨切符
雁ゆきてまた夕空をしたたらす
月下の猫ひらりと明日は寒からむ
口笛ひゆうとゴツホ死にたるは夏か
筍や雨粒ひとつふたつ百
揚羽より速し吉野の女学生
あめんぼと雨とあめんぼと雨と
枯山へわが大声の行つたきり
枯山に鳥突きあたる夢の後
口論の真ん中にあり蠅叩
口で紐解けば日暮や西行忌
菊人形問答もなく崩さるる
藤田湘子先生の創刊・主宰した結社『鷹』は、
現在も盛んに活動されています、こちら→「鷹俳句会HP」