2018/08/31【俳句愛好会・幹】今月の句、落掌致しました。
夏の季語、【日傘】でした、他、夏&秋の自由題。
投稿いただいた会員の皆さんには、
添削&アドバイスを9月10日ごろまで送付します。
で、次回の兼題は、【木の実/このみ】、秋の季語です。
傍題は、木の実落つ、木の実降る、木の実雨、木の実拾ふ、木の実独楽など。

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読みは「きのみ」でも悪くは無いのですが、俳句では、このみが一般的でしょう。
俳句で言う木の実とは、
果樹を除いた樫・椎・椋・榧・橡・栗などの団栗の総称ですネ。

では、例句と解説。
~よろこべばしきりに落つる木の実かな/富安風生~
*よろこべばしきりにおつるこのみかな*
有名な句、即興吟(吟行句会での即詠)らしい。
作者が落ちる木の実を喜ぶと、木の実も益々喜んで落ちてくれる。
そんな事はないのだが・・・まるでアニメ「隣のトトロ」の世界観であります。
この句はエンドレス、いつまでも木の実は落ち続ける、ユニークで優しい句。
無垢にして融通無碍、名句デス。
~木の実降るビーナス像に齢問へ(え)ば/ふゆきゆふ~
*このみふるビーナスぞうにとしとえば*
これもユニーク、木の実とビーナスの取り合わせ。
女性に歳を問うとはなんと不届きな輩であるかぁ~、
と、怒られているのである、福音ならぬ木の葉を降らされた。
木の実の句は滑稽感が合いますね。
~木の実落ち幽かに沼の笑ひ(い)けり/大串章~
*このみおちかすかにぬまのわらいけり*
叙情的である、美しい詩だ・・・深山幽谷を思い浮かべる。
大きな山の懐にある沼に木の実が落ちた・・・大小の取り合わせ。
作者には小さな、かすかな音、小さな波紋、それを沼が笑ったのだと言う。
ただ、他の生き物達には、木の実の沼に落ちた音は大きく山を揺るがすほど響いたのではないか?
沼のかすかな笑いを、作者も呼応して微笑んでいる。
~布団より転げ落ちたる木の実かな/白濱一羊~
*ふとんよりころげおちたるこのみかな*
さて、この木の実はいったいどこから来たのだろうか?
作者はまだ夢うつつなのか?それとも過去の投影か?
いや、可愛い妖怪の仕業ではないか(笑)
~木の実落つ来世は君とまた逢は(わ)む/保坂加津夫~
*このみおつらいせはきみとまたあわむ*
愛妻家であったのだろう、作者七十八歳の句。
落ちた木の実は婦人の魂が去った比喩であろうか?
それとも日常の中で愛妻を偲んでいたのだろうか・・・。
来世も貴女と、などと言える作者が羨ましくもある。
【逢う】とはこんな時に使うのです。
~ブロンズの少女が弾く木の実かな/山本菫~
*ブロンズのしょうじょがはじくこのみかな*
公園の木陰に少女のブロンズ像がたっているのだ。
春夏秋冬、この木は少女を見つめている、愛している。
夏の日差し、冬の寒風、木は少女を守り続ける。
そして秋になると木の実で愛を告げる・・・。
少女の思いはわからない、木の実を受け取るすべもない。
静と動の取り合わせの見事な秀作であります。


秋の里山で木の実を探索しつつ、
ゆっくりと創作できれば良いですね。
ただ、熊には十分お気をつけ下さいネ。
他、秋の季語で自由題とします。
締切は9月30日です。